国勢調査で一部移民除外 トランプ政権

人種・民族の質問も削除案

 米国市民と永住者以外は、米国の国勢調査の統計上の数字から抹消される可能性が出てきた。

 トランプ政権は9月9日、2030年の国勢調査(センサス)で、永住権(グリーンカード)を持たない外国人を連邦議会の議席配分に使う人口から除外するとともに、人種・民族に関する質問を廃止する規則案を発表した。

 米国の国勢調査は10年ごとに実施され、下院議席の州別配分や選挙区の区割り、連邦政府による資金配分などの基礎となる。これまでは、移民資格にかかわらず米国内に通常居住する人を原則として人口に含めてきた。

 新たな規則案では、米国市民と永住権保持者は人口に含める一方、不法移民だけでなく、学生・就労ビザなどで合法的に滞在していても永住権を持たない外国人は議席配分用の人口から除外する。移民人口の多い州や都市では、議席数や連邦補助金に影響が出る可能性がある。

 さらに、人種・民族と性的指向について、10年ごとの国勢調査の人口調査票では質問しない方針を示した。政権側は、回答者の負担や個人情報流出の危険を減らすためとしているが、こうしたデータは人種差別や社会格差を把握し、公民権政策を立案する際にも使われてきた。なお、国勢調査とは別に国勢調査局が毎年実施している標本調査「米地域社会調査(ACS)」でなど、別の調査で人種などについて質問することは禁止していない。

 これまで国勢調査では、市民権や在留資格にかかわらず、米国を通常の居住地とする人を人口に算入しており、不法滞在者や留学生、就労ビザ保持者なども含まれてきた。

 一方、観光客や短期出張者など一時的な訪問者は対象外だった。

 憲法修正14条は下院議席の配分について各州の「全人口」を数えると定めている。国勢調査局はこれまで、市民権や在留資格にかかわらず米国を通常の居住地とする人を人口に含めてきたことから、規則案は今後、法廷で争われる可能性が高い。センサスの基本質問事項には、アジア系かヒスパニック系かという人種的背景を問う項目があり、これにより、米国全土、どの地方地域にどのようなエスニックグループが存在しているかなど学術的、社会的側面を論理的に支える役割を果たしてきたのも事実。こうしたことからNY州のジェームズ司法長官は、提訴を含む法的措置を検討していると表明している。