日本が生んだ世界的細菌学者、野口英世博士の偉業を讃え、遺徳を後世に伝え、米国で医学の道を志す若き日本人研究者を応援することを目的に、墓守りの活動を続ける「ニューヨーク野口英世記念会」(HNMS、
本間俊一代表)は、5月21日、ニューヨーク、ブロンクスのウッドローン墓地で「99回忌回忌野口英世墓参会」及び「第9回ニューヨーク野口英世記念奨学金授与式」を開催した。
式典の中でニューヨーク総領事の片平聡大使及び野口博士が在籍したロックフェラー大学ティモシー・オコーナー副学長ほか、博士が生前、黄熱病感染予防のワクチン開発研究に命を賭して多くの人命を救った深い所縁をもつガーナ、メキシコ、エクアドルの各国のNY総領事・国連大使などが出席し挨拶、野口博士生誕の地である福島県猪苗代の「野口英世記念会」本部の倉根一郎理事長からもメッセージが届けられた。
今年NY野口英世記念奨学金を受けたのはコロラド大学で酵素マイクロバルブを用いた新たな肺洗浄、呼吸補助技術の開発に取り組む博士課程研究フェローの垣内健太さん(36)とニューヨーク大学で中米の雲霧林に生息する歌うネズミを用いて社会的音声コミュニケーションを支える海馬の神経機能の研究をする藤島悠貴さん(31)の2人。米国日本人医師会、日本医師会(東京)、NY福島県人会、NY日系ライオンズクラブからの寄付によりそれぞれに2500ドルが贈られた。
垣内さんは2013年に早稲田大学理工学部を卒業、2015年に修士号取得。東京女子医科大学非常勤講師を経て23年に来米。「水の中に酸素がもっとあれば、人間は水の中でも生きられるのではないか」と思ったことが研究の動機という。
藤島さんは2021年に九州大学医学部を卒業し同年来米。ニューヨーク大学で23年から博士課程に在籍。「歌うネズミが2匹いると、片方のネズミが歌い終わるまでもう片方のネズミは歌い始めない。そこに社会的コミュニケーションの原型があると感じ、歌うネズミの脳機能の理解と研究の成果が、人間の社会的認知機能の低下の仕組みや精神疾患の理解や治療法開発につながることを目指している」という。
黄熱病の研究中に死去

野口 英世(のぐち ひでよ、1876年〈明治9年〉11月9日〜 1928年〈昭和3年〉5月21日)。日本の医師、細菌学者。栄典は、正五位・勲二等旭日重光章。学位は医学博士(京都大学)、理学博士(東京大学)。
福島県耶麻郡三ッ和村(現:耶麻郡猪苗代町)出身。高等小学校を卒業して上京し、済生学舎(日本医科大学の前身)に通い、医術開業試験に合格して医師となった。渡米してペンシルベニア大学医学部の助手を経て、ロックフェラー医学研究所研究員となった。主に細菌学の研究に従事し、黄熱病や梅毒の研究で知られる。数々の論文を発表し、ノーベル生理学・医学賞の授賞候補に3度名前が挙がったが、後にその業績の多くが否定された。黄熱病の研究中に自身も罹患し、1928年(昭和3年)5月21日、英領ゴールド・コースト(現在のガーナ共和国)のアクラで51歳で死去。


