桜の交流 寄贈250本 フィラデルフィア日米協会


スバル桜まつり盛大に

100年前(1926年)に日本政府がアメリカ独立150年を記念して、フィラデルフィア市に寄贈した枝垂れ桜

 フィラデルフィア日米協会主催のスバル桜まつりが、3月28、29日、フィラデルフィアのフェアモントパークで開催された。総勢約2万3000人が参加し、春の風物詩を満喫した。今年は例年より少々早めの開催となり桜は三分咲きだったが、両日会場は”桜花爛漫”と言わんばかりに大勢の参加者で賑わい、華やかに和風が舞う週末となった。

 「桜」が導くフィラデルフィアと日本の結び付きは実に長く、1926年に日本政府がアメリカ独立150年を記念しフィラデルフィア市に1600本の桜を寄贈したことから始まった。その後、フィラデルフィア日米協会が桜の寄贈を続け、アメリカで屈指の書院造りの日本家屋として知られる「松風荘」の存在もあり、フィラデルフィアと日本との繋がりはさらに深まった。

 2003年から、その桜並木の元で日本文化を紹介する「桜祭り」が毎春開催されるようになり、今では地元だけでなく郊外からも数万人が訪れるフィラデルフィアを代表する春の恒例行事となっている。

 今年の桜まつりの幕開けとして、3月27日に「前夜祭」が行われ、子どもたちのソーラン節の踊り、古武道の演武、オーケストラ演奏、長唄三味線など、さまざまなジャンルのパフォーマンスが盛大に繰り広げられた。本番である3月28、29日のフェアモントパークの会場でも、和太鼓演奏・コスプレショー・カラオケ大会・歌やダンス等の情熱溢れるパフォーマンスがステージを彩り、終日参加者の心を躍らせた。

 今回は、フィラデルフィアを彩る桜をテーマとしたダンスで会場は絶好調に盛り上がった。毎年恒例のピンクの衣装を身にまとった可愛い動物たちが会場に勢揃いし、大人気の着付けや茶道などが体験できるブース、祭りを賑わす屋台、クラフト、お土産などの出店も例年以上に多く、参加者は日本のお祭り気分を味わった。

さらに深まる日米の絆

 写真左からデニス・モリカワ氏(フィラデルフィア日米協会理事長)、ジョージ・リオン氏(2026年スバル桜まつり委員会会長)、カズミ・チューニ氏(フィラデルフィア日米協会専務理事)、イアン・モラン氏(積水アメリカ社長)、スーザン・スローソン氏(フィラデルフィア市パーク&レクリエーション・コミッショナー)、ジェフ・ウォルターズ氏(スバル・オブ・アメリカ社長&COO)、パット・デイリー氏(フィラデルフィア名誉領事)、片平聡大使(NY総領事)、ボブ・ピック氏(北米東京海上、上級副社長 &CIO・チーフ インフォメーション・オフィサー)
祝辞を述べる片平大使

 29日の開幕式でフィラデルフィアのシェレル・パーカー市長が「美しい桜がフィラデルフィアと日本を結ぶ大切な役割を果たしており、未来につながる更なる交流を願っている」と祝辞を述べ、ニューヨーク総領事の片平聡大使は、挨拶の中で、フィラデルフィア桜まつりの「人と文化との交流」を大いに称え、今後のより一層の繁栄を願って桜の植樹に参加した。未来につながる新たな桜の木がフェアモントパークに加わった1日だった。

 コロナ禍以降、昨年から入場を有料にしたが、曇りの天候にもかかわらず、両日ともに多くの来場者で賑わった。参加した人たちからは 「これは毎年の大切なイベントだから、来年も絶対に来たい」「ボランティアとして参加して有意義な経験ができた」「この桜祭りは人種、年齢、国籍の枠を超えて、みんなが楽しめる素晴らしいイベントだ」 といった声が聞かれた。

 日米協会桜祭り実行委員の宇佐美友加さんは「来年の開催を心待ちにしている様子が伝わってきました。この桜祭りが地元に定着し、欠かせない季節行事となっていることがよくわかります。日米の友好の絆である桜は、これからもフィラデルフィア日米協会主催の春の恒例行事であるスバル桜祭りを盛り上げ、人々の心をつなげていくでしょう」と話している。

百年続く桜の歴史
独立250年を記念

フィラデルフィア日米協会

 写真左からマイク・オルーク氏(ペンシルベニア州経済開発部ディレクター)、間瀬博幸首席領事(NY日本総領事館)、ジョン・グロム氏(フィラデルフィア保険会社 Philadelphia Insurance Companies、社長&CEO)、カズミ・チューニ氏(フィラデルフィア日米協会専務理事)、右側にいる子供たちはフィラデルフィア補習校の児童生徒。一番右は同校の元日本語教師、フミヨ・バッタ氏。

 フィラデルフィア市内フェアモント公園にある桜の下で、過去25年にわたり桜まつりが毎春開催され、今は市長も参加する大きな年間行事のひとつとなっているが、その起源は日本政府からフィラデルフィアに桜の木が寄贈された100年前にさかのぼる。

  1926年、フィラデルフィアではアメリカ独立150周年を祝うため万国博覧会が開催された。日本は10余りの参加国のひとつで、フェアモント公園内に「日本パビリオン」を建設し1年間におよぶ展示をした。さらに、この万博参加にあたり、日本政府は桜の木を含む花が咲く樹木1600本をフィラデルフィアに市に寄贈。それは参加各国原産の木や花を「常設展示」してほしいというアメリカ政府からの要望に応えたものだった。 

 同年5月21日には、フェアモント公園内カトリックサークルの噴水の前、200人を超える観衆が見守る中で贈呈式が催された。松平恒雄駐米大使、ローランド・モリス元駐日アメリカ大使、ケンドリック フィラデルフィア市長などが参加。その時に植樹された桜は今でもフェアモント公園に見事な花を咲かせている。

  その後、フィラデルフィア日米協会は1998年から10年かけて、さらに1000本の桜の木をフェアモント公園内に植樹。 2023年には、東京海上グループに属するPHLYが250本を寄贈した。この250という数字は、今年2026年がアメリカ独立250周年にあたることも意味している。 

 4月1日に、この250本の植樹式典が100年前に開催されたのと全く同じ、公園内のカトリックサークルの噴水の前で行われた=写真上=。フィラデルフィアのメディアが中継する中、東京海上北米CEOジョン・グロム氏、ニューヨーク総領事館・間瀬博幸首席領事、フィラデルフィア名誉領事パトリック・デイリー氏ら多数参加した。

(フィラデルフィア日米協会専務理事チュー二・一美)

 参考:「Phila-Nipponia:フィラデルフィアと日本を結ぶ歴史的絆」 フィラデルフィア日米協会出版 (2015)