フェラーリと私のギアチェンジ 40+女の人生

 「場所は当日の朝にお知らせします」——そんな謎めいた招待状を受け取ったのは、数日前のことでした。

 当日の朝、送られてきた住所をナビに入れて向かったのは、ニューヨーク郊外にある、とある邸宅。門をくぐると、目に飛び込んできたのは十数台のフェラーリ。赤、白、黒、そして私が乗せてもらったのは、グレーの「296GTB」コンバーチブル。偶然にもその日の赤が効いたシャネルのドレスとぴったり合っていて、なんだか嬉しくなりました。

 屋根を開けて走り出すと、アクセルをぐっと踏み込むたびに、重低音のエンジン音が体の奥まで響き渡る。まるで内側から目が覚めるような感覚。ギアを変えるタイミングでは、ハンドル部分にある赤いランプが点滅し、「今だよ」と合図してくる。ランプが光った瞬間、一気にシフトチェンジ。背中から押し出されるような加速に、思わず「きゃーっ!」と叫んでしまいました。まるで大人のジェットコースター。いや、それ以上。

 この日体験した「自分で操っている感覚」は、フェラーリならではのものでした。そしてふと、思ったのです。最近の私の人生も、まさにギアを変え続けてきたな、と。

 子育てをしながら仕事を続け、小さなネイルサロンから、医療とウェルネスを融合したビジネスへ。何度もアクセルを踏み直し、時にブレーキをかけ、また前に進む。そんな日々の中で、見える景色も、自分の中の風も、少しずつ変わってきたように思います。

 この日集まっていたのは、フェラーリオーナーや車好きの方々。会場となった邸宅のオーナーにいたっては、「自分だけのZIPコード(郵便番号)」を持つというスケール感。でも驚いたのはそれだけではなく、そこに流れていた空気でした。

 会話はとにかく面白くて、何度も大笑いしてしまうほど。それでいて、話の内容はどこまでもスマートで洗練されていて、笑いながらも知的な刺激を受けている自分に気づく。競争よりも“楽しむこと”を大切にしている、大人の余裕がそこにはありました。

 フェラーリに乗った午後。高性能な車に身を任せながら、ふと思いました。人生も同じ。ずっと同じギアで走り続けるのではなく、時には思いきってアクセルを踏み、赤いランプが点滅したその瞬間に、ギアを変えてみる。怖がらずに、楽しむように。そうやって走る人生のほうが、きっとおもしろい。

 あの午後の風と音、そして笑い声を思い出しながら、私はまた、新しいギアで走り出そうとしています。

藤田カンナ

美容クリニック「Re:forma」と「Kirei House」代表として日本の美の哲学と、米国および世界中から取り入れた先進的な技術を融合させ、心身の調和を重視した総合的な美容と健康ケアを提供。女性の健康をサポートするために開発、Femtechアワードを受賞した幹細胞製品の米国代表。KAATSUスペシャリスト認定資格およびインテグレーティブ・ニュートリション認定ヘルスコーチの資格を持ち、コロンビア大学で学んだビジネスと経営の知識を活かし、事業運営や顧客サービスにおいて、常に最先端のアプローチを追求している。