平和の鐘を鳴らすのは

広島、長崎の原爆投下、終戦から75年

国連総会今年はオンラインで

 広島、長崎の原爆投下、終戦から75年の節目の年に世界を新型コロナウイルスの禍が襲った。目に見えない新たな恐怖との戦い。4か月間、世界の人々が最高の健康水準に到達することを目指す国連の専門機関、WHO(世界保健機関)は、年初中国を擁護して迷走、国際的な非難を浴びた。

 米国ニューヨークに本部を置く国連はパンデミックにより、オンライン・リモートで9月の国連総会を開催することを決めた。

 日本が1956年に国連に加盟する2年前に、一人の日本人、中川千代治なる人物の善意と行動力で寄贈された平和の鐘は、現在国連本部の日本庭園にあり、毎年、「国連平和デー」と重なる9月21日の国連総会初日に加盟各国の国連大使らが列席する中で国連事務総長とその年の本会議義長が鳴らしてきた。

 セレモニー自体は国連事務局の主催だが、その幽玄な鐘の音は、日本の世界へ向けた平和を願うメッセージとしても響いてきた。

 日本政府国連代表部によると、現時点で国連事務局から今年の平和の鐘の式典への招待の連絡は受けていないという。式典が中止になる可能性もあるが、オンラインで始まる国連本会議であっても平和の鐘の音だけは変わらずに響いて欲しいものだ。日本政府国連代表部の力の見せどころだ。終戦から75年目の夏。あの鐘を鳴らすのは、今の世だからこそ。リモートでもきっと心に響くに違いない。