NY州クーパーズタウンで式典
米メディア相次ぎ報じる
マリナーズなどで通算3089安打を放ち日本人で初めて米国野球殿堂入りしたイチロー氏(51=本名・鈴木一朗。元マリナーズなど)が27日、ニューヨーク州クーパーズタウンでの式典に出席し、英語で19分間のスピーチを行った。米メディアはそのスピーチの素晴らしさを相次いで報じた(以下はすべて27日付け)。
MLB公式サイトは「イチローが感動とユーモアで式典に、主役に」との見出しで報じた。「野球史上最高のリードオフバッターの一人である彼は、スピーチの順番では最後に打席に立ったが、今回はその場の空気感と英語力の両方を巧みに操り、観客を魅了した」と書いた。「スポーツ界で最も秘密主義的な人物の一人だったが、スピーチはレイヤーを剥がすようにして、驚くべき一貫性の背景にある思考プロセスと、鋭いユーモアのセンスも明らかにした」と書いた。ESPNも「アメリカのファンにとって、スズキのユーモアあふれる一面を垣間見られる貴重な機会となった」と報じた。
ニューヨーク・ポストは「英語でウィットに富んだ殿堂入りスピーチを披露し注目を集める」と報じた。「イチローは昔から周りの人から英語が上手だと知られていたが、公の場では常に通訳を使って日本語で話すことを選んでいた」と指摘した上で、「機知に富んだスピーチを披露した」と報じた。
ヤフー・スポーツは「何よりも注目を集めたのは彼のスピーチだった」と報じた。特にジョークの切れ味に注目。もっとも印象的だったのは殿堂入りの全会一致を阻止した投票者に触れた部分だったとした。今年1月に行われた殿堂入りの投票で全米野球記者協会会員の一人だけがイチローに入れなかった。これに対しイチロー氏は「家に招待して、一緒にお酒を飲みながら、じっくりと語り合いたいです」と語っていた。受賞スピーチでは「ところで、あのライターに私の家で夕食をご馳走するという申し出は、もう期限切れです」と語り、会場は大爆笑に包まれたことを報じた。

こうした好意的な賞賛の一方、オーフル・アナウンシングは「マーリンズのデイビッド・サムソン氏を小馬鹿にした」と報じた。イチロー氏は、3球団目となったマーリンズについて「デイビッド・サムソン氏(当時球団社長)とマイク・ヒル氏(当時GM)が本日来ていただいたことに感謝します」としたうえで、「正直、2015年に契約オファーをいただいた時は、あなた方のチームのことを聞いたことがありませんでした」と話した。会場は爆笑に包まれたが、オーフル・アナウンシングは「受賞スピーチで球団と幹部をからかって楽しんだ」と書いた。とはいえ、当のサムソン氏は「イチロー氏は本当に素晴らしい完璧なスピーチをしてくれました。殿堂入りのみなさん、おめでとうございます」とイチローへの謝意をXに投稿した。
スピーチでイチロー氏は、殿堂入りはオリックス入団、メジャー移籍に続くもので「3度目のルーキーです」と軽妙に語り始め、妻の弓子さんへの感謝と引退後のエピソード、メジャーへの扉を開いた野茂英雄氏への思い、夢と目標の違い、プロとしての心構えなどをユーモアも交えて述べた。所属したマリナーズ、ヤンキース、マーリンズ各球団の関係者、選手や家族らに感謝の意を伝え、英語で19分間にわたって語った。
また、ニューヨーク日系人会(JAA)では、イチローの殿堂入りに際して寄付を行ったことから式典に佐藤貢司会長夫妻が招待され、前日のレセプションと当日の式典に出席、イチローの殿堂入りを祝福した=写真上(
佐藤NY日系人会会長(左)とイチロー氏)=。
イチローの野球殿堂入りに合わせ、クーパーズタウンにあるアメリカ野球殿堂博物館では現在、「野球:太平洋を越えたスポーツの交流」展が行われている。詳細はウェブサイトbaseballhall.org/jp/yakyu
式典現地ツアーも開催
今回の式典に合わせて現地ツアーを企画した日の丸USAの鹿俣政道社長は「悪天候のためセレモニーは午後1時から午後2時半に変わりました。会場は凄い人で後ろの方しか空きがない状態でした。殆どの人達はイチロー51のユニホームを着ていました。以前見たセレモニー会場の写真より遥かに大きな会場でした。これも一重にイチローだからと思います。イチローのファンがこんなに居るのかと驚きました。会場までのシャトルバスもスムーズで、会場はセキュリティも万全でステイトポリス、救急隊、消防隊、ボランティア、ドローンまで飛ばして警備してました。イチローは最後にスピーチしました。観客は皆んな真剣に聴き入ってイチローコールも凄かったです」と当日の様子について話す。

