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NY市長選予備選勝者秋本番の陣へ

民主アダムス対共和カーティス

 ニューヨーク市長選(11月2日投開票)に向けた予備選挙の投開票が22日行われた。今回初めて候補者を最大5人までの優先順位を記入するというRCV(Ranked Choice Voting:順位選択投票)方式が取られ、また郵便投票分の集計もあることから勝者確定には数週間かかる可能性が高い。

 選挙管理委員会は第一選択の表を集計中で、23日午前10時現在では各種世論調査の予想通り元ニューヨーク市警の警官でブルックリン区長のエリック・アダムス候補(60)=写真上=が30%でトップ、デブラシオ市長の元顧問のマヤ・ワイリー候補(57)が22%で2位。NY市衛生局の元コミッショナーであるキャスリン・ガルシア候補(51)が19%で3位。アジア系のアンドリュー・ヤン候補(46)は4位11%と予想外の低迷、投票締め切り後2時間ほどで敗北宣言した。

 第一選択で過半数を獲得すればそのまま勝者が確定するが、過半数獲得者がいない場合は第2選択の票を集計する。この際、第1選択でもっとも票の少なかった候補は外され、外された候補の得票は投票者が第2選択にしていた候補に振り分けられる。これを繰り返し、最後に残った2人のうち得票が多い方が勝者となる。民意がより反映されるとされるが、接戦の場合は開票に時間がかかる。

 一方、共和党は72%の得票数を獲得したガーディアン・エンジェルス創設者のカーティス・スリワ候補(67)に決まった。ニューヨーク州タクシー運転手連盟の創設者であるフェルナンド・マテオ候補(63)は28%だった。ニューヨーク市は共和党支持者よりも民主党支持者の方が圧倒的に多いため民主党の予備選挙の勝者が次の市長となる可能性が非常に高い。

 ただし、ニューヨーク市の治安改善が今回の市長選挙の目玉として本番の11月まで突入した場合や、民主党候補に致命的な大きなスキャンダルなどが浮上した場合、共和党の勝算も消えていない。ジュリアーニ元検事総長が民主党黒人現職のディンキンス市長を破って共和党から市長になった例やブルームバーグ前市長の例がある。

 投票直前の20日に発表された統計調査会社イソプスの最新世論調査では、民主アダムス候補が28%トップで次が20%でアンドリュー・ヤン候補だった。以下3位が15%で元衛生委員のキャスリン・ガルシア候補、4位が13%で市長顧問のマヤ・ワイリー候補だった。RCV方式でも、アダムス候補とヤン候補の2人による決選投票となる第7ラウンドでアダムス候補が56%でヤン候補の44%を上回った。イソプスの世論調査での支持率を政策別に見ると、有権者の55%がニューヨーク市が直面している最も大きな問題は「治安」と答えており、この政策でアダムス氏が最も信頼できるとした人は39%、ヤン候補の同15%を大きく引き離す圧倒的強さを示していた。

(写真右)ジュリアーニ氏(左)と勝利宣言する共和党カーティス候補(22日午後11時市内レストランで、写真・小田啓二)