インテリアデザイナー
テーブルデザイナー
本紙連載「大石育子の暮らしのテーブル」でお馴染みのインテリアデザイナー兼テーブルデザイナーの大石さん。およそ14年間のニューヨークマンハッタン暮らしを経て2021年に帰国後は、「NY流のおもてなし」に必要なテーブルコーディネートを始め、フィンガーフードや紅茶などトータルでおもてなしの空間を作るためのレッスンを日本に拠点を移して開講している。現在では、さまざまな器の商品撮影やそれを使った季節のテーブルデザイン、百貨店や有田焼窯元の東京のショールームでのディスプレイ展示や、陶磁器、漆器などの伝統工芸を始め、和洋アンティークとのコラボなど活躍の幅を広げている。
今回は、山久漆工(福井県鯖江市、山本泰三社長)の漆器の高い技術力を世界に発信するためのプロデューサーとしての来米だ。イベントには、ファッション業界のラグジュアリー層のアメリカ人や美術関係者を中心にゲストとして招き、宣伝、拡散してもらえるインフルエンサーを招待して日本の美をアピールした(関連記事3面に)。
大石さんは、横浜出身。元々は日本企業で働くキャリア・ウーマン。結婚後インテリアデザイナーの仕事を経て渡米。日系不動産会社米国現地法人の社長夫人としてニューヨークで生活した。渡米中に一時帰国した時に実家の父親から古伊万里のうつわのセットを受け継いだことがきっかけとなり、1800年代に米国に輸入された古伊万里のアンティークを自身のテーブルコーディネートにも取り入れるようになった。
宅地建物取引士の資格も持つ大石さんは、米国で1950年代に富裕層に流行ったミッドセンチュリースタイルと呼ばれる和洋折衷のインテリアにも魅了され、食卓の上でも和洋折衷の美を追求することになる。古伊万里の青い色が好きで、ロイヤルコペンハーゲンのブルーフルーテッド、スポードのブルーイタリアン、オールドウィローのブルーと合わせたテーブルが評判となった。ティファニーブルーと古伊万里を組み合わせたり、屋外での独立記念日のテーブルでは星条旗の小旗の横に古伊万里の皿にハンバーガーやフレンチフライを乗せたり、その斬新なアイデアがニューヨーカーたちの心を掴んだ。
「アメリカは、国をあげての祝日や季節の記念日がいっぱいあり、そして日本には美しい四季があります。毎年の繰り返しでも、同じ組み合わせではなく、毎回が私にとっては通過点なんです。完璧を求めすぎずに、今の私を表現することを大切にしています」と気負わない。
在米中からテーブルコーディネートの甲子園といわれる日本最大のコンテスト、東京ドーム「テーブルウェアフェスティバル」での受賞歴は多数。2019年特別審査部門入選、翌年2020年テーブルウェア・コーディネート部門入選、特別審査部門奨励賞受賞、帰国後の2023年 も同部門で佳作受賞、特別審査部門入選と大活躍だ。
「4年ぶりのニューヨークで、帰ってきたという感じです。お友達からもお帰りなさいと歓迎されて、やっぱり私はニューヨークが大好きなんですね」と笑顔で話した。
(三浦良一記者、写真も)