日本のデザインを米国に紹介する

ギャラリー91オーナー、デザイナー
海老原嘉子さん

「日本のデザイン、いいものがたくさんあるんですけど、アメリカの生活スタイルにフィットするサイズとか値段がマッチしていないことがとても多いんです。日本の有名デザイナーが日本のコンサルタントを使って商品を完全に作り上げちゃってから持ってくるんです。それがすごく問題なんです」と言う。
 これまで日本のデザイナーの作品をニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、クーパー・ヒューイット美術館、フィラデルフィア美術館、ブルックリン美術館、デンバー美術館、モントリオール美術館などに紹介し、300点以上が永久保存作品として収蔵されている。その実績が言わせる自信の言葉だろう。
 この8月には国際現代家具見本市(ICFF)と同じ主催者が行う「NY NOW」のアクセント・オン・デザインに35年間70回出展、アクセント・オン・ジャパンのセクションを主催する。
 海老原さん自身も、企業のテキスタイルデザインのコンサルタントとして、バーグドルフ・グッドマン、メトロポリタンミュージアム・ショップのデザインの制作を担当。1983年以降、ソーホーにデザイン専門のギャラリー91をオープン。オーナー、キュレーターとして活動し、88年にはニューヨークのデザイン界の発展に大きく貢献したことが評価され、日本人初の名誉ある賞「ブロンズ・アップル・アワード」を受賞している。
 94年以降プラット・インスティテュートやパーソンズ・スクール・オブ・デザインほかでの教鞭、フィラデルフィア・ユニバーシティー・オブ・アート、クランブルック・アカデミー・オブ・アートなどでの講師を行うかたわら、毎年NYのデザインスクールの卒業制作審査講師も担当する。97、98、99年に毎日デザイン賞にノミネートされた。
 2013年、ギャラリー91の1階スペースを閉じ、2階のショールーム兼オフィスで各美術館ショップ、ハイ・デザイン・ショップなどにむけて日米の良質なデザイン商品を展示し卸業を続けている。
 日本からの海外進出デザイン商品のための手助けをする若手育成にも力を入れ、助言と汗を流すサポートを惜しまない。「トレードショーなんだから、きちっとビジネスに繋げてほしい」。白百合学園高校卒、女子美術大学卒業。両方の同窓会ニューヨーク支部会長。64年来米、69年より永住。趣味は自動車の運転で、日本でA級ライセンスを取得した最初の日本人女性2人のうちの一人。(三浦良一記者、写真も)