弾ける足音世界に響かせるまで

タップダンサー 中川恵美子さん

 タップダンサーのEMIKO、本名・中川恵美子さん(26)は、身長165センチ。日本人としては腕も長い方で、すらっとした体型から弾き出すタップの軽快さとダイナミックな動きで観客を魅了してきた。日本ではショーの出演、振り付け、インストラクターなどをしていたが、3年前に活動の拠点をニューヨークに移し、米国で活躍することを目的に現在ダンス留学中だ。所属はダンス・スクールとしてはニューヨークの老舗で名門のブロードウエー・ダンス・センターで週に10コマから12コマのレッスンを受けながら、ショーの出演、ソロパフォーマンス、クラスのアシスタントをしている毎日だ。

 4歳からダンスを習い始めダンス歴は20年を超えた。幼児の頃に見たNHKの子供向け番組「みんなの広場だ!わんパーク」のダンサーに憧れて踊っている姿を見て、親が連れて行ってくれたのが、その憧れの子供ダンサーたちが練習しているダンススクールだった。夢中になってレッスンに励んだ。小学校3年の時には、NHK紅白歌合戦のバックダンサーとして舞台に立つ。子供心にも、満席の大ホールでのステージが生む魔法のような陶酔感と感動を覚えたという。それからはダンス、特にタップダンスの魅力に取り憑かれて「ますますのめりこんでいった」そうだ。

 夢中になってレッスンに励むなかで、特にはまったのがタップダンス。ダンス・スクールでのレッスンでは飽き足らず、ニューヨークで活躍していた日本タップ界のレジェンド、みすみ・スマイリー・ゆきこ女史に師事するようになり、タップダンサーへの道をあゆみはじめたそうだ。

 中学生の頃から両親とニューヨークへ旅行に来る度に、タップのクラスを受けていた。自然と「絶対にアメリカでタップダンサーになる」と思い始めたそうだ。

 米国では、タップダンス専門のダンスカンパニーがいくつか存在し、数は多くはないが、どこもマネジメントがしっかりとしていて、エンターテインメントの世界でもダンスのジャンルとしてビジネスモデルが確立されている。自分にしかできないタップダンススタイルをより確立すること。そしてアメリカと日本のタップダンスコミュニティの架け橋となることが夢だ。「アメリカのタップダンス・スピリットを学んで日本へ持ち帰ることが私のアメリカでの大きな目標です」と話す。「ニューヨークの一瞬も休まない賑やかな雰囲気が好きです」と笑顔を残してマンハッタンの雑踏の中へ消えて行った。(三浦良一記者、写真も)