編集後記

【編集後記】

 みなさん、こんにちは。ニューヨークでは先週、市内各所でニューヨーク・ファッション・ウィークの発表会が華やかに開催されました。本紙が今週号で紹介しているのは「伝統素材を生かした装い」と「革新的なメディア・アートを生かした装い」のふたつのイベントと、日本の若手デザイナーに発表の場を提供し続ける日本企業の取り組みです。日本の伝統素材を使い世界のデザイナーとのコラボコレクションを展開しているのはSAKURAコレクションの代表理事・田畑規子さん。栃木県の佐野正藍、新潟県の小千谷縮などを使った、着物素材を洋服の世界へ繋げる試み。昨年に続き2度目のNYイベント。そして京都大学でAI時代に新しい価値を生み出すアート・イノベーションとアート&テクノロジーの教育に従事している土佐尚子教授が発表したのは、赤ちゃんの鳴き声を電子的に高画質カメラで映像化してテキスタイルにプリントした「生命讃歌」の作品。また若手の発表の場としてバンタンとパルコが続けているイベントは今年は「アジア・ファッション・コレクション」と題して3人の若手デザイナーの作品を発表しています。ニューヨークの五番街を歩くと、バス停やブティックのウインドウには、ひと頃黒人オンパレードだったモデルの中に、アジア系のモデルがかなり増えてきている印象です。アジア系の「お醤油顔の一重まぶた」が新しい美しさのバロメーターに加わった感じです。マンハッタンの百貨店の前でまるで1950年代のボーグの雑誌から飛び出してきたような高齢の婦人に出くわしたり、大学のクラブに行けばボタンダウンのワイシャツに見事なシワを作って着こなしている高齢のアイビーリーガーの姿をまだまだ見ます。自分のスタイルを持った生き方がファッションにも出るのでしょうね。アジア系の顔立ちも、西洋の人からはかっこいいと見られているようです。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)