一人で始めた平和活動

ティアラグループ代表

アイセ リノさん

 昨年12月、本来ならホノルルで開催予定だったイベント「パールハーバー平和への祈り」を新型コロナウイルスのパンデミックのためオンラインでニューヨークとホノルル、ホノルルの姉妹都市、広島などをつないで開催した。アイセさんは「今、生きる力を守り、未来を結ぶために、過去とつながる」をテーマに平和、人権、環境、各国の文化を理解するための活動団体ティアラグループを昨年作った。平和や人権に対して意識を持つようになったのは少女時代。母方の祖父母は広島県に住んでおり夏休みになると祖父母のところへ遊びに行っていた。そこで祖母から「あそこにキノコ雲があがって…」と戦争の話を聞くことになる。アイセは広島平和記念資料館の展示などを見る時、学徒動員として爆心地近くへ行き帰らぬ人となった母の兄と重ね胸が苦しくなった。

 法政大3年の時、大学近くの日本歯科大口腔外科で秘書として働いたことがきっかけで秘書検定準一級を取得、のちに簿記を取得した。その頃の仕事が今のティアラの活動に活かされている。

 来米は5年前。映画「終戦のエンペラー」のプロデューサーで「ラストサムライ」のキャスティングをした奈良橋陽子氏のユナイテッド・パフォーマーズ・スタジオ(UPS)で演技を学んでいたとき、奈良橋氏が学んだニューヨークのネイバーフッド・プレイハウスで公開授業を受けられると知り、その1日のためにニューヨークへ飛んだ。初めてのニューヨーク。着くとなぜか心が軽くなった。知り合いが誰もいないのに寂しくなかった。誰もかれも友達のように見え、危ない危ないと聞いていた分、安心してしまった。ここなら自分に偽りなく暮らしていけると。

 ニューヨークでは4年前からマークリエーションや中垣顕實法師率いる平和財団などとのイベントの企画・運営を行っている。和やかな笑顔と優しい温かい言葉で相手に接し、摩擦を減らして暮らせるようにとの願いを込め、今後もイベントの企画をしていきたいと話している。三線演奏者としてステージにも立つ。

 (三浦良一記者、写真も)