コロナ禍ダンスで生き抜く

ダンサー&パフォーマー

草島 叶実(くさじま・かなみ)さん

 1997年北海道生まれ。父親の転勤のため引っ越しの多い家庭だった。幼少期を千葉と広島で過ごし、小学校入学以降は横浜市で過ごした。6歳で本格的にモダンダンススタジオの稽古に通い始め、18歳で高校を卒業するまで同スタジオに所属。神奈川総合高校卒業後、2016年7月5日に渡米。ニューヨーク州立大学パーチェス校のダンス学部に留学、4年間学んだ。大学のキャンパス内で寮生活を送りながら、毎日の様々なダンスの授業、振付の課題、舞踊史や解剖学などの座学系の科目まで、すべて英語でこなした。最初の一年はやはり英語力の不足があり、課題にもかなりの時間がかかって苦労したが、時間が経つにつれて徐々に慣れていった。

 大学内でのパフォーマンス以外に、ニューヨーク市内で踊る機会にも恵まれた。ニューヨーク・ライブ・アーツ、ザ・エイリー・シティグループ劇場のほか、ショーマンズやミスト・ハーレム等のジャズバー、OSSAMギャラリーなどのアートギャラリーでもパフォーマンスをした。昨年5月、コロナ禍のさなかで同大を卒業。本来であれば、卒業後はオーディションを多数受け、ダンスカンパニー所属やダンスプロジェクト参加など、ダンサーとしての仕事を見つける予定だったが、パンデミックの影響でその機会がほとんど無い状態となってしまった。

 3月から8月にかけての大半は、ほとんど人のいない大学のキャンパス内の寮で、オンラインのダンスクラスを受けながら、一人で隔離生活をする日々だった。しかし、やはりダンスは一人で黙々と練習するだけではなく、人に届けることも必要だと強く感じるようになり、NY在住のジャズシンガー、霧生ナブ子さんと協力し、オンラインでのライブ公演「ダンス×ジャズ・ミュージック・オンラインコンサート」を実施。

 9月にはワシントンスクエアパークで出会った絵師、ヒノキヲタクロウ(Pinokio)のライブパフォーマンスに参加するようになった。12月からはほとんど毎日、ワシントン広場や地下鉄駅でソロダンスのパフォーマンスをしている。

 「ありがたいことに、今ではその寄付をもとに生活を立てられるようになりました。一人でも多くの人を元気づけられたら嬉しい。先のことは誰にも分からない状況なので、今できることを精一杯やっていくしかないと思っている」。2月からは、さくらラジオでストリートパフォーマーとしての生活や経験にについて伝える新番組のパーソナリティを務める。(三浦良一記者、写真は本人提供)

写真クレジット:David A Bayas (@unrestrainednegative on Instagram)