直接給付が成立

電子納税者に一律600ドル支給
トランプ大統領引き上げを断念

 米連邦議会上下両院は21日、9000億ドル(約93兆円)規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案と2021会計年度の連邦政府予算案の採決を行い、下院で359対53、上院で92対6の賛成多数で可決した。トランプ大統領は内容に不満を述べていたが、27日夜に署名し成立した。

 追加経済対策法案は3兆ドル(約320兆円)規模の追加支援を求める民主党と支出を抑えたい共和党との交渉は膠着状態となっていたが、現在の経済対策が年末に切れるのを前に可決を急いだ。26日に1200万人分の失業給付が切れ、また28日には政府予算案の期限切れによる政府機関一部閉鎖が迫っていた。

 今回の経済対策では国民の大半が対象となる1人あたり600ドル(約6万2千円)の直接給付や週300ドル(約3万1千円)の失業保険上乗せ延長が決まった。3000億ドル規模の企業支援、中小企業向けの特別融資「ペイチェック・プロテクション・プログラム(PPP)」などのほか、250億ドル規模の家賃支援なども盛り込まれた。

 しかし、3月の経済対策は大人1人に1200ドル(約12万4000円)支給や週600ドル(約6万2000円)の失業給付金上乗せなど総額2兆4000億ドル(約250兆円)あった。これに比べ今回は規模が縮小した。トランプ大統領は22日、ツイッターで「期待したものと大きく違う」として署名しない意向を示し、「無駄で不要なもの」は削り、現金支給を2000ドル(約21万円)に増額するよう求めた。民主党のペロシ下院議長もこれを歓迎したが、時間切れでトランプ大統領は署名に踏み切った。

 直接給付を受けられるのは、今年もしくは昨年のどちらかにオンラインで個人所得税申告を米内国歳入庁(IRS)に申告した者。申告者の銀行口座に一律に近く振り込まれる。夫婦合算申告している場合は2人分の給付を受ける。