ワクチン米国第1号

ファイザー社年内に2500万人分を供給

NYクイーンズの病院で

 米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルス のワクチンが14日朝、クイーンズにあるロングアイランド・ジューイッシュ医療センターで米国で初めて接種された。同ワクチンには米食品医薬品局(FDA)が11日に緊急使用許可を出した。接種を受けたのは集中治療室(ICU)のサンドラ・リンゼイ看護師(52)。接種の様子はニューヨークのクオモ州知事の記者会見時に同時中継された。

 リンゼイ看護師は「他のワクチンを接種するのと何の違いも感じませんでした」と述べ、「ワクチンが安全であるという国民の信頼を植え付けたい」と付け加えた。クオモ知事は「これが戦争を終わらせる武器であると私は信じている」、デブラシオNY市長は「素晴らしい瞬間だった」などと述べた。

 トランプ大統領は「初のワクチン接種。おめでとう米国、おめでとう世界!」とツイッターに投稿。民主党のジョー・バイデン大統領も「希望を持ち続けてください。明るい日が待ち受けています」とツイートした。

 ワクチン接種はニューヨーク州の医療機関「ノースウェル・ヘルス」の系列病院で行われている。NY市の保健委員であるデイブ・チョクシ博士は年末までに市内で合計約46万5000回分を接種できるだろうと述べている。

 米国は14日までに1600万人以上が感染、30万人以上が死亡しているという世界最多の感染国。マスク着用を拒否する人が多く、ホリデーシーズンで室内での集まりが増え11月は新型コロナ新規感染者数が10月の倍となる420万人に達した。

 コロナワクチン開発加速に向けた「ワープ・スピード作戦」の最高運営責任者のギュスターブ・ペルナ陸軍大将によると、19日までに全米636か所に290万回分のワクチンを届ける予定。ファイザーは年内に2500万人分を供給するとしており、スピード作戦のモンセフ・スラウイ首席顧問は年内に2000万人がワクチン接種ができるのではないかと述べている。米バイオ医薬品企業モデルナのワクチンは17日にFDAの諮問委員会が緊急使用を審査する。スピード作戦の供給・製造・配布を監督するポール・オストロウスキ氏は6月までに米国民全員がワクチンを接種できるとの見通しを語っている。

(写真)記者会見するクオモ知事