若者に接種促進作戦、NYであの手この手

12歳以上にはアメリカン・コミック誌贈呈

 新学期を迎え、若年層へのワクチン接種促進が大きな課題となっているなか、ビル・デブラシオ・ニューヨーク市長は8月25日、12歳以上の若者の新型コロナウイルスのワクチン接種を促し、感染力の高いデルタ株のまん延抑制の目的で、10代の接種者に限定のマーベル社のコミック本『アベンジャーズ』を無料で提供すると発表した。 

 同コミック本が受け取れるのは、SOMOSコミュニティ・ケアが運営する接種会場で、タイムズ・スクエア、ブルックリンのマリア・ヘルナンデス公園、ブロンクスの東149丁目368番地の3か所となっている。 


接種した子供に贈呈されるコミック

「接種したら100ドルあげます」
ひと月で10万人接種の成果

 新型コロナウイルスの感染が再拡大する米国でニューヨーク市は7月末、ワクチンの摂取率を伸ばすため、初めて摂取する市民に100ドルのインセンティブ支給を開始したが、その後10万人以上が接種を受けていたことがわかった。

 デブラシオNY市長は7月28日の会見で、同月30日以降に市が運営する接種会場で1回目の接種を受けた人に100ドルのプリペイド型デビットカードを支給すると発表。1000万ドルを投じて実施した今回の方策により多くの市民が接種を受け、そのほとんどが2回目の接種も受けているという。また、市職員への接種や毎週の検査を義務付けると発表してから1週間以内にワクチンを接種した人は40%急増した。

 米国ではワクチン接種が進んでいないフロリダやテキサス、ミズーリなど南部でデルタ変異株による感染拡大が急速に進んでおり、ビジネス再開に踏み切ってポストコロナを見据えていたニューヨークなどはなんとしても感染のぶり返しは抑え込みたいところ。同市の1日当たりの新規感染者は8月30日時点で、1805人。直近28日間でもみても1830人と増加傾向は収まったものの足踏み状態にある。ワクチン接種は全年齢で完了が58・3%で、少なくとも1回を含めても合計64・9%に留まっている。25歳から34歳は61%、18歳から24歳は59%。12歳以下は接種が行われていないこともあり0歳から17歳以下では完了は14%となっている。