上川陽子外相国連外交のヒット

日本政府UNRWAへの資金拠出再開へ

 上川陽子外務大臣は、4月2日これまで停止してきたUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)への資金拠出を再開することを決定しました。3月末のUNRWAのラザリーニ事務局長との会談を経ての決定です。UNRWAの職員数名が去年10月のハマスによるイスラエル攻撃に関与した疑いがもたれ、主要援助国の多くが拠出を停止しました。

 最大の拠出国米国は来年3月までは再開しない方針の中、カナダ、スウェーデン、フランスなどが再開を表明しています。

 2月に開催された世界宗教者平和会議(WCRP、本部ニューヨーク)主催の東京平和円卓会議にパレスチナとイスラエルの宗教指導者が同時参加しました。

 私は日本の国会議員との対話をアレンジしましたが、これら参加者が日本政府の再開を強く要請し、自民党の国会議員もその支援を表明していました。

 ラザリーニ事務局長は「資金が枯渇すれば、ガザ地区の支援だけでなく、UNRWA職員の立場も危うくなり、継続することは極めて重要だ」と訴えました。WCRPの宗教指導者も、長年のUNRWAによるきめ細かな支援は、米国が主張する他の国際機関では代替できないと訴えていました。

 ガザで500人以上の学生が日本風のタコを空に飛ばし、日本の教育インフラ

支援に感謝した他、日本によるUNRWA支援70周年を記念して「Tsumugu」というキャンペーンも進行中です。

日本が議長の国連安保理がガザ停戦決議を採択

 3月25日議長国が日本である国連安保理が「ラマダン期間中の即時停戦決議」を採択しました。これまで停戦決議案に4度拒否権を行使してき米国が行使せずに棄権したことにより、昨年10月以来初めて決議が採択されました。議長国日本の主導で非常任理事国10か国が共同提案し米国を除く全ての国が賛成しました。

日本は人間の安全保障と仲介外交で貢献を

 ウクライナやガザでの戦争は、一般市民が犠牲になる残忍な映像をリアルタイムで伝え、胸を締め付けます。WCRP東京平和円卓会議にはウクライナとロシアの宗教指導者も参加しました。激しい対立もありましたが、ロシアを含めて「戦争と暴力を強く非難」、「敵味方なく生命の尊厳と神聖さの平等性」などを決議しました。

 上川外交は人間の安全保障と仲介外交という日本ならではの貢献を更に果たしてほしいと願います。

 ふじた・ゆきひさ=慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。