航空券予約が急増

日本の水際対策緩和、入国後の隔離なしに

旅行代理店に電話殺到

 3月1日から帰国する日本人で、ワクチンを3回打っている人の隔離規制を日本政府が解除し、国内の公共交通機関も使用できるようになった。これを受け、パンデミック以降2年近く帰国を手控えていた在留邦人が一斉に航空券の予約に走っている。ニューヨークの日系旅行代理店ではチケット申し込みの対応に追われるところも出始めた。

 ニューヨークに本社を置く日系旅行代理店大手のIACEトラベルでは、発表の翌日から電話による問い合わせが一気に増えた。中田勝子法人予約課ディレクターは「既に手元にある航空券のスケジュール変更を始め、夏の旅行の里帰りチケットを今から予約する人が多い。ただし、1日の入国者数が3500人から5000人に増えたとはいえ、日本航空、全日空、ユナイテッドも1便あたりに受けられる乗客数が制限されており、満席でまだ飛べるようにはなっていないため、席が埋まってしまう可能性がある。お客様には早めにチケットを予約するように勧めている」という。日系企業関係者の帰国の大多数がI-94の書き換え需要とのことだ。

 また、アムネットの石黒和宏予約課マネージャーは「公共交通機関が到着後に使えるという発表の翌日から、地方への乗り継ぎ便の問い合わせが急増した。3日間の隔離が無くなったので、お子様連れの家族は、2、3年ぶりに日本の祖父母に会わせたいという人がかなり増えてきた。3月の予約は既に取りにくい状態になり始めている。アメリカ人からの訪日観光についての問い合わせも多いが、まだ日本人のパスポート以外の人は入国できないので、秋くらいには状況がよくなればと伝えている。昨年の今頃も同じことを言っていたような気がする。ビジネスよりも一般の里帰り需要が多いが、企業の出張規定も徐々に緩和されてくるだろう。スタッフも人員増強して対応し、4月以降はフル稼働に向け社員研修しているところだ」という。

 HISのセールスマネジャー、内村圭作さんは「帰国便に関する問い合わせの電話が1日400本近くあり、パンデミック前の水準に戻りつつある。特に5、6、7月の問い合わせがかなり入っている。ウェブサイトでは最安値チケットを出しているが、変更が効かない場合があるので、まだ100%緩和されてない以上、更なる水際対策も予想して旅程が変更できるものを求める希望者が多い。これまでは沖縄、北海道への到着後の交通手段がなかったが、公共交通機関、飛行機の乗り継ぎ便の使用ができるようになった」と話す。

入国自宅待機不要に

日本が水際対策を緩和

 日本の水際対策強化に係る新たな措置が発表された。3月1日午前0時(日本時間)以降、米国から日本に入国する際の変更点は次の通り。なお、日本入国時の検疫手続に必要な書類等は引き続き、出国前72時間以内の検査及び陰性証明書の提出、入国時の検査他が求められる。

(1)検疫所長の指定する場所での待機(強制待機3日間から0日へ)

 これまで米国から入国する際に求められていた検疫所長の指定する場所での3日間の待機及び入国後3日目の検査は、3月1日午前0時(日本時間)より指定解除となる。原則入国後7日間の自宅等待機となるが、(2)のように緩和措置がある。

(2)日本入国後の待機期間

A ワクチン3回目追加接種者(ブースター接種済み)は、日本入国後の自宅等待機が不要。

B ワクチン3回目追加未接種者(ブースター接種が完了していない人、ワクチン未接種者)は、入国後に原則7日間の自宅等待機が求められる。ただし、入国後3日目以降に自主的に「認められる検査実施機関」( 自費検査機関https://www.c19.mhlw.go.jp/search/)で検査を受け、陰性結果をMySOS(入国者健康居所確認アプリ)により入国者健康確認センターに届出し、同センターから「待機終了の連絡」があった人は、その後の待機が不要となる。

(3)新型コロナワクチン接種証明書

 (2)Aの措置の適用を受けるためには、入国の際に政府等公的な機関で発行されたワクチン接種証明書(CDCカード、エクセルシオールパスプラス、ニューヨーク市発行の証明書等)の提示が必要。証明書の記載事項の要件、認められるワクチン名・メーカー等の指定がある。詳細は厚生労働省ウェブサイト「水際対策強化に係る新たな措置(27)」( https://www.mhlw.go.jp/content/000901649.pdf)を参照。

(4)入国後の公共交通機関の使用

 入国後、自宅等待機のための移動(入国時検査から24時間以内の移動,かつ自宅等を目的とした最短経路の移動)に限り、公共交通機関の使用が可能となった。なお、ワクチン3回目追加接種者は入国後の公共交通機関の使用制限はない。

(5)外国人の新規入国

 日本国内の受入責任者(雇用主、招聘企業・団体等)の管理の下、観光目的以外(商用・就労等の短期滞在又は長期滞在)の新規入国が認められる。査証申請の前に受入責任者による事前手続(受付済証の申請・入手)が必要。

 詳細は前出の厚生労働省サイトおよび外務省サイト(https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html)を参照する。