コロナで入院の日本人。退院して帰宅したらアパートの私財が捨てられていた。

 イーストビレッジに住む日本人男性が新型コロナウイルス感染で2か月入院し、帰宅したところアパートが空になっていたという事件があった。

 ナガオカ・ラオさん(60)は1月27日、エレベーターのないアパートの5階で助けを求めているところを発見され、新型コロナウイルス感染で入院した。闘病生活は脚のリハビリを含めて約2か月に及んだが無事治療を終え3月25日に帰宅。ドアを開けようとしたところ鍵が変えられており、開けることができなかった。ビルの管理人にドアを開けてもらい部屋に入ったところ、残っていたのはピアノと数点の物だけだった。ナガオカさんは「率直に言って、それは悪夢のようなものです」とメディアの取材で語っている。

 アパートの住人によれば作業員が来て部屋の中を片付けてしまったという。アパートの管理人に預けていたペットの亀は無事だったが、管理人は他の荷物がどこに持って行かれたのか「わからない」という。

 アパートの建物は著名投資家のバーバラ・コーコラン氏と元メジャーリーガーのアレックス・ロドリゲス氏が所有しているもの。コーコラン氏は管理会社が部屋を完全に改装したとの声明を発表。それには「ナガオカ氏の健康状態が悪化していることを考えると、彼のアパートの状態は、建物の他の居住者の健康にとって明らかに危険になっている」と荷物撤去と改装の理由が書かれている。

 改装されたのは事実でキッチンには新しいオーブンと冷蔵庫があり、壁は塗り替えられ、天井にあった穴も修理されていた。しかし浴室の水道が使えないなどの不都合もあった。こうした状況のなか、隣人らはナガオカさんに生活に必要な物を寄付して援助。そしてある隣人がクラウドファンディングを開始し、すでに3万5000ドルを集めた。その最大の寄付者はコーコラン氏だという。