ヴィーガン料理の魅力を発見

野菜の可能性を精力的に開拓

 ミシュラン三つ星を持つ現代米国料理店「イレブン・マディソン・パーク」で副料理長を務めたチャンプ・ジョーンズ氏が、2018年9月にヴィーガン・レストラン「サンズ」を開き話題を集めている。
 ジョーンズ氏は菜食主義者ではない。「温暖化などの環境問題に面して、一般消費者が菜食に関心を高めるなか、美味しい野菜料理を提供する店は稀少。ヴィーガン料理の「動物系素材の代用」というイメージを払拭するような魅力ある野菜料理を、自分なりに探求したいと考え当店を開きました」と話す。
 簡潔なメニューにはデザートを含め16品を用意。4〜19ドルと手頃な価格設定だ。一例は「プラムのテリーヌ」。フェアトレードのパームオイルにシナモンやクローヴなどのスパイスで溶けるまで煮込んだプラムを織り込み、スムーズで濃厚なフォアグラさながらの食感を実現。オリーブオイルと豆乳で作るしっとりとした自家製ブリオッシュとともに供する。
 また「芽キャベツのシーザーサラダ」は、芽キャベツのローストに豆乳、オリーブオイルとレモン汁のドレッシングをからめた一品。仕上げには、木綿豆腐を茹でて乾燥させた後リンゴの木で燻(いぶ)した硬い豆腐をパルメザンチーズ同様に削いで散らし、コクのある味わいに仕上げる。「硬い豆腐は日本の鰹節からヒントを得ました」とジョーンズ氏。さらに胡椒と麹だけで味噌を試作するなど、野菜の可能性を精力的に開拓している。
 週末のブランチには、卵なしでしっかり満足させるアボカドのエッグベネディクトなども用意している。客層はヴィーガンの友人を伴った非ヴィーガンが目立つといい、一般への広いアピールを示唆する。
 同店は話題のショップやレストランが林立するブルックリンのキャロルガーデンズに立地。28席のクリーンでミニマリストなデザインも人気の理由だ。きめ細かなサービスとともに、ヴィーガン料理の魅力を開眼させる魅力的な店である。
(ニューヨーク在住ジャーナリスト/片山晶子)

Sans
329 Smith St. Brooklyn, New York 11231
Tel: 929-337-6292
ディナー 17:30〜22:00 (金・土曜23:00)
ブランチ 土・日曜 11:00〜14:30
月・火曜は休み
www.sansbk.com