NYでデモンストレーション
12月8日、マンハッタンのフラットアイアン地区にある「ザ・ギャラリー・バイ・オードー(THE GALLERY by Odo)」にて、「茶とテックのセレモニー」(Tea X Tech Ceremony)VR/AR茶室の体験型展示と、ハンター大学 古典・東洋研究学部日本語・日本文化学科で日本語と茶道を教えるコール阿部真理氏と学生による茶会が開催された。
(写真)裏千家NY茶の湯センター所長の鈴木宗慶業躰さんもVR茶室を体験
12月に入り急激に冷え込んだ人影の少ない夜のストリートの中で、会場はひっそりと光を放ち、ひときわ印象的な存在感を放っていた。ミシュランスターシェフ・大堂浩樹(Hiroki Odo)が手がける、食とアートが融合した洗練された空間に一歩足を踏み入れると、オープン時から多くの来場者で賑わっていた。
会場には、ハンター大学オリエンタル学部の学部長、日本語・日本文化学科の学科長に加え、京都、裏千家家元直属の鈴木宗慶業躰さん(NY裏千家茶の湯センター所長)も来場し、実際にヘッドセットを装着してVR/AR茶室を体験する姿が見られた。
VR/AR茶室というまだ馴染みの少ない展示を、来場者は一人ひとり手に取り、実際に体験していた。Sony CSL Kyoto が開発するAR茶室は、まるで実在する京都の茶室に入ったかのような体験が可能で、点前を鑑賞するだけでなく、自ら亭主と同じ視点、位置に座り、動作を学びながら体験することができる。
一方、VR茶室はハンター大学コンピューターサイエンス学部のオヤウォーレ・オエコヤ教授と学生のジャック・ジェウェル氏が開発中のもので、SONY CSL Kyotoが所有する茶室「寂隠」を模した室内空間を自由に探索でき、茶道具を手に取って移動させるといった動作まで擬似的に体験できるインタラクティブな展示であった。
このVR茶室は、ハンター大学の茶道の稽古にも時折使用されており、畳の上での歩き方、床の間の拝見、襖の開閉といった、本物の茶室がない環境では練習しにくい所作の習得に役立っている。
午後4時半からは計5回の茶会が催され、ハンター大学の茶道を学ぶ学生たちが交代で点前を披露した。北米伊藤園の提供による薄茶が振る舞われると、近年の抹茶ブームも相まって、多くの来場者は茶碗を丁寧に手に取り、その一服をゆっくりと味わっていた。
日本茶はもはや珍しい存在ではなく、日常に根付きつつあることを感じさせる光景であった。茶菓子には、ハンター大学のイニシャル「H」をあしらい、スクールカラーである赤紫を基調とした、渋みのある意匠の一品が供された。伝統的な茶道と最先端のテクノロジーが融合し、その新たな可能性を一度に体験できた本イベントは、参加者に深い余韻を残す特別な一夜となった。 (城林希里香、写真も)

