ワクチン出荷遅れ気味

NY市2万3000人の接種予約キャンセル

 米国の新型コロナウイルス(COVID-19)による累計感染者数が24日、2500万人を超え、死者は41万7000人に達した。米ジョンズ・ホプキンス大の集計によるもので、いずれも世界最多となっている。

 米国の累計感染者数は今年1月1日に2000万件となった。わずか3週間で500万件が追加された。米国の人口は3億2820万人で、米国人の13人に1人がウイルス陽性であり、800人に1人がコロナで死亡したことになる。 

 感染者数は最近はやや減少傾向が見られるが、英国で見つかったものとも違う感染力のより強い変異ウイルスも全米各地で確認されており、収束は見通せない状態が続いている。米疾病対策センター(CDC)の新しいディレクターであるロシェル・ワレンスキー博士は「2月中旬までに50万人が死亡すると予想されている」と述べている。

 ファイザー/ビオンテックおよびモデルナ製造の2社のワクチンは昨年12月末より接種が開始されたが、CDCによれば24日までに接種できているのは計画の半分ほどの2180万回。接種対象となっている16歳以上の米国人口の6%に留まっている。

 ワクチンは連邦政府から各州に届けられる形だが、接種自体は地元任せで、保冷輸送の難しさもあり供給と需要の不一致が生じている。ワクチンが到着しても接種場所や人員確保の時間も予算も足りない自治体や病院もある一方、供給不足のケースもある。例えばニューヨーク市は20日、モデルナからの出荷が遅れ2万3000人の接種予約を取り消したと発表した。市保健局によれば、遅れは連邦政府が委託している業者の問題という。保管ケースや保冷剤をモデルナの提携業者が用意できなかったと見られる。

 市は24時間体制で接種が受けられる場所も設置し、1月中に100万人という目標にしているが、ワクチンを拒否する人も多く暗雲が立ち込めているのが現状だ。

 20日に発足したバイデン政権はコロナ対策の国家戦略として100日間で1億回分のワクチン接種を掲げている。 

日系高齢者に接種も
高齢者アパートのイザベラ

 65歳以上がワクチン接種の対象となっているが、居住地域の接種センターでの予約が取れない状況が続いている。昨年100人近い死者を出したマンハッタンの高齢者施設イザベラの、高齢者アパート棟には日系人が20人住む。ナーシングホーム棟ではワクチン接種が予約なしのウォークインで始まっているが、併設のアパート棟の住民は、ナーシングホームでは受けられずにいる。高齢者もおり、住民に不安が広がった。ワクチンは、ナーシングホームとそのスタッフ限定で連邦政府から供給されているため、コミュニティーに属する高齢者アパートの住民は主治医を通してここの施設以外で予約を取る必要がある。しかし同高齢者アパートでは、NYプレスビタリアン病院と交渉した結果、高齢者アパートの住民にも接種をしてもらえるようになった。27日、予約第一号となった中野敬子さん(89)は「これで少し安心しました」と喜んでいた。