女性像のリアル描く 塚本監督に功労賞(カット・アバブ)

カットアバブ賞を受賞した塚本監督(Photo: George Hirose)

日本映画NYで人気
ジャパンカッツ閉幕

 ジャパン・ソサエティー(JS)で7月19日から始まった夏恒例の日本映画祭・第13回「ジャパン・カッツ」が7月28日閉幕した。映画祭の最後を飾ったのは箱田優子の監督デビュー作品「ブルーアワーにぶっ飛ばす」。箱田監督と主演女優の夏帆(かほ)、シム・ウンギョンが駆けつけ、上映前にステージに上がった箱田監督は「クロージングに選んでいただいて光栄。でも、今回の26本の中できっと一番面白いです!」と太鼓判を押し、会場からの大きな拍手を浴びた。

 同作は、自分にコンプレックスを抱きつつ東京で働く30歳の女性・砂田(夏帆)が自由奔放な親友(シム)と大嫌いな故郷・茨城へ帰る話。同映画は日本全国では10月に劇場公開となる最新作だ。上映後に登壇した箱田監督は、「女優2人と役作りについて事前にすごく話した」と制作過程を語った。会場から「ステレオタイプイメージの日本女性ではない女性たちが登場して興味深かった」との意見が出されると、箱田監督は「そうですね」と我が意を得たりという表情で「今の女の人のリアルを常に考えていた」と説明した。会場にいたある日本人は「日本で話題となっている『新聞記者』にも出演しているシム・ウンギョンさんを見たくて来た」と言い、最前列で鑑賞していたフレデリックさんは「夏帆さんに会いたくてハワイ出張を変更して駆けつけた」と話した。
 今年の同祭は長編26編短編16編を上映、登壇した映画人は20人を超えた。最終日の会場はほぼ非日本人の観客で埋め尽くされ、日本映画や日本の俳優などの根強いファンが多いことが感じられた。今年の日本映画界に貢献する監督や俳優の功績を称える「カット・アバブ)」賞は塚本晋也監督に贈られ、24日に授賞式が行われた。 (小味かおる)