編集後記 11月14日

【編集後記】 みなさん、こんにちは。大統領選挙が終わり、勝利したバイデン元副大統領が組閣準備に入りましたが、組閣に必要な人事局の事務所やその膨大な資料をまだ使用することができない状態です。組閣人事に入るには、公正な選挙が無事に終了したということが前提条件のためです。トランプ大統領が「選挙立会人が集計室に入ることができなった。違法投票だと判断する必要がある」として選挙の不正を訴えています。トランプ陣営および共和党はこれまでに少なくとも45州で300件近い訴訟を起こしているとされますが、ミシガン州やジョージア州では証拠がないとして却下されるなどすでに多くは退けられています。世界がバイデン候補に祝電などを送っている中で、どうしてトランプ大統領はこうまでして負けを認めないのでしょうか。世論を敵に回し、やれ往生際が悪いだの、みっともないだの言われてなお、選挙結果を認めないのは、トランプ大統領には大統領なりの「勝算」があるからかもしれません。それは選挙制度の仕組み自体に構造的な、通常では想定外の陥穽(かんせい=落とし穴)があるからです。12月14日に各州の選挙人による投票がありますが、共和党が多数派を占める」ペンシルベニア州などでは、裁判中であることを理由に選挙人が決まらない可能性があり、そうなれば、バイデン氏が過半数の270に届かないことがあり得るのです。その場合は、連邦下院が決めることになっていますが、この投票は50州がそれぞれ1票の投票権しかなく、州の数では過半数を占める共和党が有利になります。この流れでこのまま行ってしまうと、トランプ大統領がどんでん返しの大逆転になることを共和党も民主党も知っていますから、バイデン氏も法的手段で対抗し始めました。法廷論争の挙句最高裁まで行ったとき、そこには、連邦最高裁の欠員にトランプ氏の肝いりで就任した保守派のエイミー・パレット連邦控訴審判事が待っています。この分かりきったシナリオをどこまで破壊して、現選挙制度下で選ばれたバイデン氏が大統領執務室にたどり着けるのか、本紙は、そんなことから今週号のトップは「大統領就任まで紆余曲折」との見出しになりました。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)