移民取り締まり今夏拡大 3か月で逮捕者急増

病院や学校にも捜査の手

 トランプ政権による移民の取り締まりが今夏、全米各地で急拡大した。ニューヨーク・タイムズ9月25日付によると、移民税関捜査局(ICE)の逮捕者は6月に約4万3千人、7月に約4万9千人、8月には約5万1千人に達し、現政権発足以来の最高水準となった。 

 同紙は逮捕の様子を記録した映像や裁判資料など、50件以上の事例を調査した。捜査員は道路や空港だけでなく、コインランドリー、病院、学校の周辺、建設現場やトラック停留所まで姿を現している。サッカーの試合に向かう最中や日曜ミサを終えて帰る途中、ナイトクラブで飲み物を飲んでいる時とあらゆる日常生活の場に及んでいる。

 テキサス州やフロリダ州といった共和党主導の州では、その勢いが最も強く、保安官や州高速道路パトロール隊員との連携を通じて活動範囲を拡大した。民主党の支持基盤が強い州では活動を制限する法律があるにもかかわらず、活動を強化した。

 移民関連の逮捕者数は、ほぼすべての州で過去最高に近い水準に達した。特に、オレゴン、モンタナ、ハワイ、ニューメキシコ、バーモント、ニュージャージーの各州では、1日あたりの逮捕者数の増加率が著しく高かった。ウィスコンシン州のコインランドリーでは客が床に押さえつけられ、フロリダ州では交通事故で搬送された女性が病院で手錠をかけられた。

 一斉検挙は6月、ニュージャージー州のニューアーク空港に近いハリソンにまで及んだ。ハリソンはヒスパニック系が約40%、アジア系が約23%を占める。ビジネス・ビザが切れる前に学生ビザを申請したトルコ出身の男性(33)は路上で車に乗り込もうとするところを逮捕された。結婚しグリーンカードも申請中だったというが、ICEによれば審査中であるからといって合法的な滞在資格が与えられるわけではないという。

 逮捕者の多くは刑事事件で起訴・有罪判決を受けた人ではなく、在留資格など移民法上の違反を問われた人だった。取り締まりは共和党が主導する州では地元警察との連携によって広がり、民主党の支持基盤が強い地域でも強まった。

 過去の大規模捜査では抗議活動を招くことが多かった。しかし今回の急増は各地で分散して進み、目立ちにくかった。ニューヨーク・タイムズの取材に対し、ICEは取り締まりの拡大を政権の公約を実行した結果だと説明している。

 このような状況を、米国に住む日本人はどう受け止めているのか。ニューヨーク在住のある永住者(60代の男性)は「いつどこにICEの捜査官がいるのか分からないのが不安だ。マンハッタンやウエストチェスターで、何の理由もなく電車内や駅構内でいきなり地元警察官や捜査官から不法移民の嫌疑を持って自分が職務質問されることはまずないとは思っているが、交通事故に遭っても自分が何者であるのかを証明する身分証明書の提示は必要になるので、グリーンカードを写真に撮影したものをスマホに保管している」と話す。