来年末に1号店
物価高対策で食費負担軽減
ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長は7月27日、市が新設する公営食料品店「NYCグローサリーズ(N.Y.C. Groceries)」で、生鮮食品や肉類など主要食料品を一般的な小売価格より30%安く販売すると発表した。物価高で増大する市民の食費負担を軽減する狙いで、所得にかかわらず全利用者が割引の対象となる。
割引されるのは、野菜と果物の全品、肉、魚介類のほか、牛乳、卵、チーズ、パンなど約20種類の主要な保存食品や冷蔵食品。対象商品の価格は月ごとに決め、1か月間固定する。市は、利用世帯の食費全体を平均15%削減し、月約90ドル、年間約1000ドルの節約につながると試算している。
市は5行政区に1店舗ずつ設置する計画で、第1号店は2027年末までにブロンクス区ハンツポイントで開店する。マンハッタン区では、イーストハーレムにある市営市場「ラ・マルケタ」の敷地内に、新たな店舗を建設する。全5店舗を2029年末までに開く予定で、整備費として市の資本予算から7000万ドルを充てる。
店舗や土地は市が所有し、家賃や建設費などの負担を抑える一方、日常の店舗運営は公募で選ぶ民間事業者に委ねる。たばこ、酒類、宝くじ、温かい調理済み食品は販売せず、地域の小規模食料品店との競合を抑えるとしている。同市営食料品店は身分証明書の提示は求めず、同市民でなくても割安の商品を購入できるとしている。無料のメンバーシップ・カードも提供するが任意のため義務ではなく、在住する住所を記入する必要もないという。
一方、既存のスーパーやボデガからは、税金で支えられる店舗との価格競争は不公平で利益が侵害されるとの懸念も出ている。市内全体に対して5店舗にとどまるため、食料品価格の抑制効果や、継続的な運営費をどう確保するか、大量買い占めによる転売にどう対応するのかも課題となる。5区に1店舗だが、その店に行きさえすれば、誰でも隔てなく平等に生鮮食品や肉類など主要食料品を一般的な小売価格より30%安く買えるだけに、地下鉄などの交通費をかけてでも元が取れるほどの割安となるため、多くの市民が殺到することが予想される。徒歩圏内にある食料品店だけでなく市外の食料品店でも客足が遠のく可能性もあり、既存商店の不安をどう払拭するかが今後の懸案事項だ。

