ABT公式教育アーティスト
NY市立公立学校ダンス科臨時教員
ニューヨークを拠点にダンス教育者、バレエ指導者として活動している菊池理園(きくち・りおん)さん(26)は、日本の防衛医科大学校で看護・医学を学び、看護師と保健師の国家資格を取得した異色の経歴を持つ。ダンサーの怪我予防やヘルスケアに医療知識を活かす教育者を志した情熱で一念発起して2年前に留学のため来米した。
ニューヨーク大学(NYU)大学院でダンス教育学の修士号を取得、現在は米最高峰のバレエ団アメリカン・バレエ・シアター(ABT)の公式教育者として、また市内公立校では一般児童から特別支援学級(自閉症・発達遅滞等)の子どもたちまでを指導する生活を送っている。
防衛医科大に進んだのは、父親が自衛官だったこともあるが、中学時代から親の転勤に伴い東京、アラバマ州で過ごしたことが、防衛省傘下の防衛医科大で、国際的にどれくらい勉強ができるのだろうかという探究心につながった。将来バレエを続ける上で、ダンサー自身の怪我の予防に活かすために看護学や医学の知識を学びたいと思うようになった。そして多くのバレエダンサーたちを支える職業像を描いた時に、看護師・保健師の両方の国家資格を同時に取得できるのは防衛医科大のみだったことも大きな理由だ。看護師はメンタルな部分で保健師は社会全体を見てサポートする。
高校時代にアラバマで地元のバレエ教室に通った時に、ABTに所属した教師の指導を受けたことが、帰国後再び海外、そして今度はニューヨークへ留学したいという卒業後の進路の希望へと繋がった。
本来、防衛医大卒業後は看護師として6年間の防衛医大または自衛隊基地での勤務が義務付けられているが、在学中にNY大に合格したこともあり「卒業したら勤務には就かずに留学の道を選びたい」と大学に伝えた。規定の償還金を一括で支払う必要があるため、家族の多大な支えを得てその手続きを完了させ、渡米を果たした。
「バレエは趣味でやっていけばいいと思っていた父親にとってはショックだったようです。最初は大反対でしたが、今は応援してくれています」という。
現在は米最高峰バレエ団(ABT)での活動、大学院での指導経験が認められ、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)の公式「Teaching Artist」として活動している。多様性をテーマにしたプログラムや、公立校でのアフタースクール・プログラムなどでメインの指導を任せてもらっており、公立学校の通常及び特別支援学級での指導は、9月からも引き続き臨時教員として登録、活動する。
これに加え、今年9月以降は、ABT認定スクール「American Youth Dance Theater(AYDT)」でのバレエ指導とABTティーチングアーティストとしての活動が米国におけるキャリアの完全なメインとなる予定だ。
「防衛医科大で学んだことは、国を担っている者としての自覚と知識。世界ではまだ戦争の中で生きる多くの子供達がいる。医療従事者としてバレエ教育者としてその両方を学んだ経験で、どんな辛い時でもバレエという美しい、そして楽しい世界があることを伝えていきたい」と話した。
(三浦良一記者、写真も)

