11月4日の投開票を前に、ニューヨーク市長選が最終局面を迎えている。10月25日に期日前投票が始まったが、初日のこの日は7万9409人が投票した。期日前投票が導入された2021年は1万5418人だったことから今回その約5倍となった。高い関心の背景には、家賃高騰、治安、教育格差など、市民生活に直結する課題があるとみられる。
各種世論調査では民主党のゾーラン・マムダニ候補が依然として他候補をリードしている。AARPとゴッサム・ポーリングによる最新の世論調査(10月20日付)によると、民主党のゾーラン・マムダニ候補が43・2%で首位を維持している。無所属候補のアンドリュー・クオモ候補は28・9%で2位、共和党のカーティス・スリワ候補は19・4%で3位となっている。
この調査によれば、スリワ氏が撤退した場合、マムダニ氏44・6%、クオモ氏40・7%と4ポイント差で接戦となる見込みだ。クオモ氏は「スリワ氏が残ればマムダニ氏に勝つことは非常に難しくなる」と述べていたが、10月20日に「関係ない」とこの発言を事実上撤回した。スリワ氏は選挙戦からは「撤退はしない」と明言している。
(関連記事5面に)
マムダニ氏はクイーンズ選出の進歩派政治家で、家賃凍結、公共住宅の拡充、警察予算の再配分といった政策を掲げ、若年層や低所得層を中心に支持を広げている。一方、ビジネス界や保守的な労働組合は、経済への影響を懸念し、対抗候補のクオモ氏やスリワ氏を支援する構図となっている。
市長選では宗教・民族コミュニティーの動向も焦点となっている。マムダニ氏がパレスチナ系住民の声を代弁してきた経緯から、一部のユダヤ系有権者との間で緊張が生じていることが報じられている。
政治経験や実行力、党内外の抵抗といった課題も指摘されている。しかしマムダニ氏は、選挙戦の争点としては「家賃・生活コストの抑制」「公共交通・保育の無料化」「進歩派政策」を提示。若年層・低所得層の支持を背景に現在の市政への不満から「変革」を求める声は強い。トランプ大統領はマムダニ氏を「共産主義者」などと批判し、連邦資金差し止めの可能性をちらつかせるなどしたが、側近に「マムダニ氏には勝てない」と漏らしたとウォールストリート・ジャーナル10月22日付は報じている。11月4日の本選でどうなるか全米的にも注目が集まっている。
NY市長選フロントランナー
マムダニ氏の強み
変革求める声反映
マムダニ氏はクイーンズ選出の進歩派政治家で、家賃凍結、公共住宅の拡充、警察予算の再配分といった政策を掲げ、若年層や低所得層を中心に支持を広げている。一方、ビジネス界や保守的な労働組合は、経済への影響を懸念し、対抗候補のクオモ氏やスリワ氏を支援する構図となっている。(1面に記事、写真:wikipedia.org)
市長選では宗教・民族コミュニティーの動向も焦点となっている。マムダニ氏がパレスチナ系住民の声を代弁してきた経緯から、一部のユダヤ系有権者との間で緊張が生じていることが報じられている。
政治経験や実行力、党内外の抵抗といった課題も指摘されている。しかしマムダニ氏は、選挙戦の争点としては「家賃・生活コストの抑制」「公共交通・保育の無料化」「進歩派政策」を提示。若年層・低所得層の支持を背景に現在の市政への不満から「変革」を求める声は強い。トランプ大統領はマムダニ氏を「共産主義者」などと批判し、連邦資金差し止めの可能性をちらつかせるなどしたが、側近に「マムダニ氏には勝てない」と漏らしたとウォールストリート・ジャーナル10月22日付は報じている。11月4日の本選でどうなるか全米的にも注目が集まっている。

