NY地下鉄ガード設置へ

犯罪防止に腰上げる

市内で突き落とし20件以上

 今年に入って10月16日までに22人がMTA(ニューヨーク都市交通局)地下鉄の線路に突き落とされる事件が報道される中、同局はこの夏からプラットホームに「バリア」の設置を検討し、地下鉄3駅に試験的に導入するための企業募集広告を出した。

 昨年の同時期は21人がプラットフォームから線路に突き落とされている。1億ドルと推定されるこのパイロットプログラムでは、乗客がプラットフォームで突き落とされたり、誤って落下したり、線路を歩くのを防ぐように設計されたホームバリアをテストするほか、長期保守契約も検討される。候補の3駅としては7番線のタイムズスクエア42丁目駅 、L線の3番街駅、E線のカーブしたプラットフォームがある「Sutphin Boulevard – Archer Avenue‐ JFK 」駅などが実行可能な場所として挙げられている。(写真上:ガードが試験導入される7番線タイムズスクエア駅)

 電車が到着するまでプラットホームから線路エリアを遮断するバリアと電車に乗車する際の保護ドアは、既に東京、ロンドン、香港、パリ、シンガポールなどヨーロッパやアジアで使用されている。米国では遅れ気味だが、ケネディ国際空港のエアトレインなど、一部の空港シャトル列車システムでは使用されている。

 しかし2020年からスタートしたMTAの3920ページに及ぶシステム全体の調査報告書では、472駅のうち約75%が「ホームバリア」設置不可能と判定されたと、10月31日付のザ・シティ(The City)紙が報道している。

京都市内の地下鉄プラットホームガード

 日本の大都市圏の駅ではホームドア(ホームバリア)設置や非常用設備などの安全対策が進んでいる。東京メトロのホームページによると、「駅ホームでの安全性を向上するため」ホームドアと稼働ステップを合わせて設置している。「駅ホームでの安全性を向上するため」として、ホームドアは銀座線・丸ノ内線・千代田線・有楽町線・南北線・副都心線においては全駅への設置が完了、日比谷線・東西線・半蔵門線においては59駅のうち34駅で完了している。

 同時にホームドア設置にあわせて、曲線ホームでホームと車両の間隔が広い場所には、乗降の際の踏み外しや転落を防止する設備として可動ステップが今年4月末時点で36駅341か所に設置されている。そのほか、駅員呼び出しインターホン、非常停止ボタンなど、9個の安全対策が備わっている。

(ワインスタイン今井絹江、写真も)