茨城県境町編・ふるさと自慢旅案内

東京から1時間で楽しめる自然と近未来

日本のいいとこ再発見

 東京都心から50キロメートル圏内、車で1時間。埼玉と千葉に隣接し、関東平野のほぼ中央に位置する茨城県境町は、江戸時代に水運を活かし「河岸のまち」として栄えてきました。川と寄り添い豊かな恵みを育んできた境町は、近年、自治体初の自動運転バスの定常運行など、最先端の技術を取り入れたまちづくりを行っており「自然と近未来が体験できるまち」となっています。今回は、多様な特産品や美しい河岸の景色、変わらない日本の暮らし感じることができるまちの魅力をご紹介します。

 初めてアメリカに輸出された日本茶「さしま茶」

 茶栽培が盛んで、利根川流域の肥沃な土壌と猿島台地の地の利に育まれた「さしま茶」は日本を代表するブランド茶のひとつです。夏は暑く、冬は強い北西の風によって冷え込む気候と肥沃な土壌といった環境で育つため、茶葉に厚みがあり、製茶すると濃厚な味と香りが立ち昇りコクのあるのが特徴です。

 実は、日本で初めてアメリカに渡った日本茶といわれています。きっかけは1853年にペリーが浦賀に来航し幕府に開港と交易の開始を強く迫った際のこと。当時「さしま茶」の国内各地への販売を託されていた地元の豪農・中山元成氏は、海外交易の必要性を感じました。そして、アメリカ総領事に接触するなどして「さしま茶」の宣伝に奔走しました。1859年、日米修好通商条約発効と同時に、全国の茶名産地に先駆けて「さしま茶」のアメリカ輸出に成功しました。海を渡った初の日本茶として名声を博した「さしま茶」は、今でも大切に引き継がれています。

 個々の生産者が自園・自製・自販の茶業経営を展開しており、一段とお茶のうま味を引き立たせています。近年は、新製品の開発なども力を入れており、フレーバーティーや和紅茶なども販売されています。また、機械製茶のみではなく伝統の茶揉み製法も技術継承されており、初めてアメリカへ輸出された当時と同じ味わいも楽しめます。ぜひ、飲み比べてお気に入りの茶葉を見つけてみてくださいね。

(写真上)クラフトティーが楽しめるカフェ「茶cafe&shop chabaco」(画像:境町観光協会HPより出典)

 自動運転バスでまち巡り

自動運転バスのデザインもそれぞれ違うのでぜひ比べてみてください! (画像:境町HPより出典)

 境町は日本の自治体で初めて、自動運転バスを公道で定常運行し始めました。現在は、常時2ルートを運行しており、料金は無料で誰でも乗ることができます。自動運転バスは町民の足として活用されているだけでなく、バスの停留所が町の各観光スポットの近くに設定されているので、自動運転バスで街巡りを楽しむことができます。バスの窓から見える街並みは、レトロ感のある商店街や古い日本家屋。タイムスリップしたような、懐かしい空間が体験できます。

 ここで、自動運転バスで訪れてほしい観光スポットをいくつかご紹介します。まずは、「道の駅さかい」です。町の新鮮な野菜や果物が安く手に入るほか、境町の特産品もそろっています。また、友好交流協定を結んでいる沖縄県国頭村のアンテナショップもあり、沖縄のご当地グルメを味わえ、沖縄土産を買うこともできます。「道の駅さかい」には、「境町のおいしいを丸ごとサンド」をコンセプトにし、地元の食材を使ったサンドイッチ専門店「さかいサンド」も施設内に併設されているので寄ってみてください。境町産の小麦を使ったパンに町でとれた野菜やフルーツを使ったサンドイッチは絶品です。イートインスペースもあるため、その場で味わうことができます。おすすめは「常陸牛のローストビーフサンド」と「イチゴクリームカスタードサンド」です。さらに、敷地内には「さかい河岸レストラン茶蔵」も併設されています。レストランの二階にある「SAKAI TEPPAN BY WOLFGANG ZWIENER」では、地元の食材を使ったコース料理がライブ感たっぷりの鉄板焼きスタイルで楽しむことができます。

 おいしいものを食べた後は、「S-Gallery(粛粲寶美術館)」でゆったりと美術鑑賞を。白を基調とした空間が作品1点1点を引き立てています。実は、「さかいサンド」「さかい河岸レストラン茶蔵」「S-Gallery」などの建物は、国立競技場を手掛けた隈研吾氏が設計しています。境町には隈氏が設計した建物が全部で6棟あり、建築家や建築ファンも多く訪れます。木材を基調とした「和」を感じさせる建物は、境町のレトロな街並みとうまく調和しています。自動運転バスの時刻表やルートについては脚注のホームページで確認ください。

(NY自治体国際化協会「クレア」、高橋真里、茨城県境市派遣)

■たびのメモ・案内板■

■さしま茶協会代表事務局:http://sashima-cha.jp/

■境町で自動運転バスを定常運行【自治体初!】

https://www.town.ibaraki-sakai.lg.jp/sp/page/page002440.html

■【アクセス】

①高速バス 境町ー東京駅 

 東京駅八重洲口から高速バス境町東京線で約90分

②鉄道・バス

 ●東武鉄道 東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)、東武動物公園駅で下車。そこから朝日バスで「境車庫方面」に乗車40分

 ●JR 東北本線 古河駅で下車。そこから朝日バス(西口発)で「境車庫方面」に乗車40分

③自動車 圏央道(首都圏中央連絡自動車道) 

■「境古河IC」:https://www.sakaimachi.co.jp/