早稲田アカデミーが帰国受験の出願ガイダンスをオンライン開催

「今月中に受験スケジュール作りを」

 進学塾早稲田アカデミーニューヨーク校(ニューヨーク州ウェストチェスター)は12日、オンラインで帰国受験生および保護者を対象にした「出願ガイダンス」を実施した。中学受験の部と高校受験の部の2部で帰国生受験の最新情報、および同社、同教室の取り組みを説明した。例年は教室で行うイベントが、今回はオンライン実施ということで、マンハッタン、ニュージャージー、ワシントンDC地区、ペンシルベニア州、カリフォルニア州、オレゴン州、ジョージア州、チリなど、さらには東京在住の帰国生の保護者の参加もあった。説明は同教室の田畑康校長がZOOMで行なった。講演要旨は次の通り。

 帰国までのスケジュール。今年の受験生は、コロナウイルスの影響で、帰国後の自主隔離期間も計算に入れると、一度受験のために帰国したら、途中で米国には戻らず、最後の受験が終わるまで戻ってこられないと見るべきだ。受験生本人と、サポートする家族のストレスを減らす上でも、9月中に、願書を取り寄せるだけでなく、各家庭で出願と受験そして各種手続きのスケジュールを作り始めて欲しい。受験生にとっては学力向上の努力が最優先なのは言うまでもないが、保護者にとっては、願書作成と、スケジュール管理を進める9月と10月が「勝負期間」となる。

 出願校の選び方。まず9月の今月中は10校以上リストアップされてかまわない。ポイントは、第一志望校への強い思いだけでなく、「通う覚悟を決めた」押さえの中学・高校を早く用意すること。直前期に、もしくは受験が始まってから慌てて押さえの出願校を増やす例が見受けられるが、受験校がその時期に増えるのは本人も家族も精神的な負担が大きいものだ。10月中に、スケジュール、出願、学力、成績などの検討材料をもとに5〜7校に絞り込んでいく。学力と成績を冷静に分析できるのは今の時期だけ。いつまで悩みますか。日本の受験生は、中学受験に関しては小学校6年になる時に受験科目などの方針を決めるパターンが多い。大事なのは、受験生が目標に向けて一生懸命頑張れる環境作りだ。志望校の入試傾向に合わせた勉強も、方向性が決まらないと受験生は突っ走れない。

 中学校の合格ラインと対策。帰国生入試は、模擬試験の結果だけでは見極められない合格ラインが存在する。特に、英語入試を採用している場合は、英文の難易度だけでなく、文法やエッセイ、面接の比重なども大きく関わってくる。残された時間になすべき学習の内容や科目間バランスは、志望校によって変わってくる。

 高校の合格ラインと対策。高校受験は、ほとんどの高校が一般受験と変わらないと考えてほしい。難関高校であれば、帰国枠といっても優遇されるされるのは5点から15点くらいだと予想される。1科目に換算すれば5点なので、誤差の範囲と言えなくもない。一般入試で突破できる力をつけることが大切だ。

 面接試験の対策。近年の教育改革で掲げられる「新しい学力」すなわち「思考力・判断力・表現力」が求められる傾向が強い。大きな声で明るく元気よく話すのは大前提で、欧米の高いランキングの大学入試や就職試験の面接と同じく、回答する内容が重視される。

 受験生と家族の心構え。コロナ禍の時代の入試は、試験を実施する学校の側も戸惑っているようだ。しかし、コロナの流行があろうとなかろうと、試験日程の後送りはないと見るべき。どんな状況になろうとも、学校側が求める生徒像は決まっている。ちゃんと準備し、正しい努力をした生徒が欲しいのだ。(抜粋)

(写真)コロナの年の帰国受験対策について説明する田畑NY校長