燕市・三条市が物産展

NYで売り込む

「大きな手応え」来米の滝沢三条市長

 新潟県の三条市、燕市、隣り合わせである金物の産地の両市がブルックリンのジャパンビレッジ2階部ロフトで、燕三条の物産展「TSUBAMESANJO FAIR」(主催・公益財団法人燕三条地場産業振興センター)を8月19日と20日の両日開催した。

 会場では、燕三条の製品販売(包丁、生花鋏、盆栽鋏、卸金、アウトドア製品、ダッチオーブン、爪やすり、寿司トングなど)のほか、和包丁作り&研ぎ、苔玉作りのワークショップ、造園業の集積地としても知られている三条市から鍛治と園芸を表現したアート展も開催した。
(写真上)造園家の畠さんの指導と滝沢市長の説明で苔玉ワークショップに参加する来場者たち。

 三条市によるインバウンドPR活動も併せて海外展開をはかっていくため、滝沢亮三条市長も今回来米してトップセールスを行う力の入れようだ。滝沢市長は「オープンと同時に大勢の市民の皆さんに来ていただき、展示商品を手に取って職人と会話して買われていく光景を見て今後に繋げていきたいという思いを強くした。今回が最初なのに大きな手応えを感じることができた」と話す。

 日本では、アウトドアのキャンプがブームになっていることから、会場ではナタやマサカリ、斧なども現代的なデザインで陳列された。製造元の日野浦刃物工房の代表である日野浦睦氏は「斧は3割、包丁が出荷の7割で、現在職人5人で世界のマーケットからの注文に対応しているが、注文に追いつかない状態だ。日本では4〜5年待ちとなっている人気の商品だけに、朝からニューヨークの有名シェフたちが買いにきてくれた」と語る。

 燕市・三条市は食器で世界的に知名度があり、今回カトラリーの展示コーナーでは元デンマーク王室御用達のデザイナーとコラボして作ったブランドICHIや高級レストラン向け、家庭向けのフォークやナイフ、スプーンが展示販売された。ブースで接客に当たったつばさ税理士法人の山田眞一氏は「皆さん、デザインが素晴らしいと言って買われていきます」と人気の理由を説明する。

 錫製のタンブラーを出展した新越ワークスの「まどろむ」は、冷酒や冷たいお茶を注ぐと表面の花火や桜の彫刻が色鮮やかに発色するアイデア商品。山後隼人取締役は「今回日本で開催された広島G7で各国首脳に土産として贈られた」と海外販路に期待を寄せる。

 今回の派遣団の団長を務めた三条商工会議所青年部の結城靖博会長は自身が老舗料亭「魚兵」の七代目とあって「海外からお客さんを受け入れる飲食業もまた一緒によくなっていく必要がある。海外で受けた刺激を今後の街づくりにも生かせると思う」と話した。

 展示会場をアートな雰囲気で包んだのが日本庭園とプロジェクションマップ効果。三条市で造園業を営む藍庭の畠弥真人さんは新潟県を流れる一級河川の信濃川と五十嵐川を表現して木とメタルの共存をイメージした石庭で和の世界を再現した。NY新潟県人会の大坪賢次会長も初日午後に来場し、滝沢三条市長ら参加者を慰労・激励した。大坪さんは「一回限りのイベントではなく、継続的にできるようこれからも応援していきたい」と同郷新潟にエールを贈っていた。

燕市と三条市、金物と園芸
海外販路開拓へ意気込み

ジャパンビレッジ、NY新潟県人会応援

 左から結城団長、好田社長、大坪NY新潟県人会会長、滝沢三条市市長、販路コーディネーター相場真紀子さん

 新潟県の三条市、燕市、隣り合わせである金物の産地の両市がブルックリンのジャパンビレッジ2階部ロフトで、燕三条の物産展「TSUBAMESANJO FAIR」(主催・公益財団法人燕三条地場産業振興センター)を8月19日と20日の両日開催した(2面に関連記事)。三条市によるインバウンドPR活動も併せて海外展開をはかっていくため、滝沢亮三条市長も今回来米してトップセールスを行う力の入れようだった。出展団体は7企業、三条市営業戦略室、三条商工会議所青年部ら総勢25人が来米した。

 主催の燕三条地場産業振興センターは、毎年SHOPPE OBJECTに出展しているが、ニューヨークでのBトゥCでの販売会は初の試みとなり、アメリカでは今までにない規模での燕三条製品の販売会となった。目玉として、プロジェクションマッピング、金属、植木を用いて燕三条を表現するアート展示、世界でも有名な包丁職人の日野浦刃物の職人による包丁作り&研ぎと特別販売が人気だった。植木職人による苔玉ワークショップも好評だった。燕三条の金物製品は、日本では有名だが、海外での知名度は日本ほどではない。多くの企業が海外への販路開拓を模索しているが、職人の匠の技術で作られた製品は、価格面で気軽に買ってもらえないところが課題となっている。今回の展示即売会では、イベントを通して、まずはニューヨーカーに燕三条という良質な金属製品を作っている土地の名前を知ってもらうこと、製品を実際に手にとってもらって質の高さを感じてもらいたいという出展者一同想いを込めてニューヨークで開催となった。今回の展示物産展はNY新潟県人会(大坪賢次会長)とジャパンビレッジの好田忠夫社長との強い要望から実現した。滝沢市長は「オープンと同時に大勢の市民の皆さんに来ていただき、展示商品を手に取って職人と会話して買われていく光景を見て、驚くと同時にとても嬉しく思った。会場のジャパンビレッジをはじめ、NY新潟県人会のバックアップがあって、今回が最初なのに大きな手応えを感じることができ、今後に繋げていきたいという思いを強くした」と話す。