米東部一帯に大気汚染

カナダ山火事の煙が到達

 カナダ東部で発生している山火事の煙が6日午後から1000キロ以上離れたニューヨークを始めとする米東部一帯まで到達し、マンハッタンは同日、普段明るい夕方でも赤茶色に空がかすんで薄暗くなった。州当局は、持病がある人に対して外出を控えるよう呼びかけている。外を歩いていると、目がちくちくするような感覚と焦げたような匂いが街を覆った。地元メディアによると、ニューヨーク州のほか、中西部のミネソタ州やウィスコンシン州など、カナダに近い広い範囲で山火事の煙が流れ込んだ。

 カナダの山火事は、1週間以上に渡ってオンタリオ州とケベック州にまたがる東部の一帯で燃え続けており、ケベック州では160件以上の火災が報告され、そのうち少なくとも114件は制御不能のまま。17万3000ヘクタール以上が焼失し、約1万人の住民が火災地域から避難している。煙は、米国東部を南下している。この煙は、曇り空の原因となるだけでなく、喘息、慢性気管支炎、COPDなどの呼吸器系疾患を持つ人の症状を悪化させる可能性のある微小粒子状物質を含んでいる。煙にさらされると、目、鼻、喉の炎症、咳、くしゃみ、鼻水、息切れなど、短期的な健康被害が生じる。

 ニューヨーク州環境保全局によると、心臓や呼吸に問題がある人、子供や高齢者は、特に煙の影響を受けやすいとされている。国立気象局によると、煙にさらされて症状が出やすい場合は、可能な限り屋内にとどまり、外にいる時間は厳密に必要な活動に限定するよう注意を喚起している。また、全米気象局はニューヨーク市民に対し、自動車、ガス式芝刈り機、その他の燃料を燃やす乗り物など、公害の原因となるものの使用を最小限にとどめるべきだと指摘している。ニュージャージー州フォートリーでは7日まで大気汚染警報が発出された。ニューヨーク市は、6日午後の時点で、バングラディッシュのダッカ、インドネシアのジャカルタ、インドのニューデリーなどの都市と並んで世界の空気汚染ワースト上位5位に入っていた。これを受けて州内中部では少なくとも10学区が屋外での授業を中止した。山火事の煙には、危険な大気汚染物質のPM2・5が含まれている。ニューヨーク市の大気のPM2・5濃度は6日、世界保険機関(WHO)の基準値の10倍を超えた。

(写真)煙の流入で空がかずむマンハッタン(6日、CNNテレビ画面から)