第96回忌、野口英世の墓参会

張本さんに医学奨学金

 日本が生んだ世界的細菌学者、野口英世(1876〜1928)の偉業を讃え、遺徳を後世に伝え、米国で医学の道を志す若き日本人研究者を応援することを目的に墓守り活動を続ける「ニューヨーク野口英世記念会」(HNMS、本間俊一代表)が21日、ブロンクスのウッドローン墓地で96回忌野口英世墓参会と第6回NY野口英世記念奨学金授与式を開催した。(写真上)奨学金を受けた張本さん(中央)と奨学金委員の加納医師会会長(左)と樋口医師

 記念会副代表の加納良雄さんの司会進行で、本間代表が挨拶、野口の荒れた墓を日本人医師会とロックフェラー大学が協力して守って行こうと2013年に同記念会を設立した経緯などを紹介。

 ニューヨーク総領事の森美樹夫大使は祝辞の中で外務省でかつてアフリカ会議を担当したことに触れ「野口博士の偉業は日本の外交官や議員の間でも大きな功績として受け止められており、亡くなった地のガーナには5月1日に岸田首相が訪れていると報告。「永眠しているニューヨークで偉業を顕彰する活動を日本総領事館としてもサポートしていきたい」と述べた。

 野口が黄熱病の研究で多くの命を救ったメキシコの在ニューヨーク総領事館、バネッサ・オルテガ領事が、同会の医療奨学金の継続に感謝の言葉を述べた。米国日本人医師会のロバート柳澤前会長が、野口博士の生まれ故郷である福島県猪苗代にある野口英世記念会の倉根一郎理事長からのメッセージを紹介、NY福島県人会の竹田小夜子会長が感謝の言葉を述べた。

 第6回「ニューヨーク野口英世記念奨学金」はハーバード大学大学院ワイス・インスティチュートで抗がん剤製法の研究と開発に打ち込む張本哲弘さん(32)が受賞し、記念の盾と奨学金2000ドルが授与された。張本さんは兵庫県生まれ。高校卒業後に海外留学しカナダのトロント大学薬学部を卒業、その後、ニューヨークのコロンビア大学大学院の博士課程で医用生体工学の研究を修了し2022年に博士号取得。現在はハーバード大学大学院で研究を続けている。

 張本さんは、野口博士の生涯を彷彿させる有望な日本人の若き医師として同奨学金委員を務めた米国日本人医師会会長の加納麻紀医師と樋口聖医師から高い評価を受け、その研究分野における将来の成果に大きな期待が寄せられている。