ジャパンパレードに課題

補習校の児童生徒ら見られず

 沿道を埋める5万のニューヨーク市民。歓声と拍手がセントラルパークウエストに響く。13日に開催されたジャパンパレードにエリック・アダムスニューヨーク市長が日の丸の小旗を振って行進する。ゲストパフォーマー、NARUTOナルトたちがメインスタンドに到着し、レッドカーペットに降り立って、アクションバトルを披露する。コスプレのアニメファンたちが大喜びしている。

(写真上)日の丸を振って行進するアダムスNY市長

アクションを披露したNARUTOナルト

 だが、そこに日本人の小中学生たちの姿はない。パレード当日は土曜日。補習授業校に通っている日本人、日系人の子供たちは、授業があるため、見たくても見れなかったのだ。

 会場にいた日本人女性は「できれば、日曜日に開催してもらいたいです。昨年は土曜日の授業を早退させましたが、今年は諦めました。郊外からおいでになる人は学校を休ませるしかないですね。夫が迎えに行ってますが、子供にナルトを見せてあげたかったです」(山田美智子さん、仮名、主婦)と残念そうに話した。

 保護者の武田秀俊さん(会社経営)は、次のように語る、「補習校の子供たちとその親たちは、日本人コミュニティにおいてある一定の規模を占めている。日本ではできない経験をする、 海外における日本の位置づけを知る、つまり日本を相対的にみる力をつける、現地校において日本を考える機会を提供するといった教育的観点からも、今後の国際交流を担う子供たちに早くから、そのような体験を、これほどの規模で経験する機会は非常に貴重だと思っている。ジャパンデーはもともと日曜開催だったのが土曜に変更された理由があるのだと思うが、来年以降に関しては、できれば補習校の子供たちも参加できる形にしてもらえれば、よりよいイベントになるのではないか」と話す。

 パレードを主催するジャパンデーインクの吉井久美子事務局長は「事務局のスタッフにも補習校に子供を通わせているママさんもいて、日曜日開催も断然候補に入れるべきと考えます。パレードは、そもそもNYPDからの許可が出ないと実施できません。で、許可が出たのが5月13日だったのです。土曜日開催か、実施しないかという二択。「テイク・イット・オア・リーブ」で泣く泣く事務局としては「許可が出た日での実施」ということで、取締役会での承認が得られたのです。この件は、種々ある課題の一つだと思っています。色々な方の生の声をシェアして頂きありがとうございます。今後の参考にさせていただきます」と話している。

 ニューヨーク補習授業校には約600人、ニュージャージー補習授業校には約400人、NY育英学園のサタデースクールに約500人、リセ・ケネディ日本人学校の土曜課程に約150人の児童生徒が在籍している。このほかにも土曜日に授業をしている日系の学校は多い。