野口英世の墓前祭 NY記念会が開催

ニューヨーク野口英世記念奨学金受賞者、大岸誠人(おおぎし・まさと)さん
 日本が生んだ世界的細菌学者で福島県出身の野口英世博士(1876〜1928)の業績を讃え、その遺徳を後世に伝えることを目的に2013年に創設されたニューヨーク野口英世記念会(本部:ニューヨーク、以下:記念会)は、命日の5月21日、ブロンクスのウッドローン墓地で博士の92回忌墓前祭を開催した。式典には、遠く福島県郡山市と西会津から参加した3人の日本人のほか、フロリダ州、メイン州などから約50人が参列した。
 式典では主催の加納良雄記念会副代表、コロンビア大学教授本間俊一記念会代表、ウッドローン墓地マイケル・レイノルズ会長、在ニューヨーク日本国総領事館阿部康次首席がそれぞれ挨拶した。続いてロックフェラー大学のティム・オコーナー副学長が登壇し、当時の経緯を紹介した。
 1928年、野口博士は所属していたロックフェラー医学研究所から黄熱病ワクチン開発研究のために派遣された西アフリカの地で自ら黄熱病に罹患して命を落とした。その後、船でニューヨークに搬送、ウッドローン墓地に埋葬された。オコーナー副学長は、「野口博士の残した世界的な功績とそのスピリットを、記念会やウッドローン墓地などと共に力を合わせて、次世代に受け継いでいくことが重要である」と述べた。
 式典のハイライトとして、記念会が2018年に創設した「ニューヨーク野口英世記念奨学金」の第2回受賞者が発表され、野口博士の墓前において奨学金が授与された。受賞者は大岸誠人さん。東京都出身の27歳。16年東京大学医学部を卒業後来米、18年からロックフェラー大学院の博士課程で若年者の結核発症の抑制を目指すメカニズムの研究に打ち込む研究医師。24歳で単身アメリカへ渡り人類のために科学の道に献身し命を懸けた野口博士の生涯を彷彿とさせる、まさに野口英世の教訓と志を受け継ぐ最も相応しい受賞者であると早くも称賛の声が上がっている。
 式典はさらに米国日本人医師会会長ロバート柳澤マウントサイナイ医科大学教授が、野口博士の生誕地福島県猪苗代の野口英世記念会八子弥寿男理事長からの特別メッセージを原文と英語訳で紹介、最後にウッドローン墓地ミッチ・ローズ代表が、閉会の挨拶をした。
 式典には米国日本人医師会、在ニューヨーク日本国総領事館、ロックフェラー大学、NY日系人会、日本クラブ、NY日米ライオンズクラブ、NY日系医療支援ネットワーク、NY福島県人会、ウッドローン墓地、NY野口英世記念会の10団体から献花が贈られた。
 ニューヨーク野口英世記念会副代表の加納良雄さんは、「野口博士の存在は全ての日本人の拠りどころ。これからも皆で力を合わせて博士の墓を守り、その遺徳とスピリットを次の世代に受け継いでいきたい」と述べた。