「日本海」で応酬 日韓国連でバトル双方譲らず

 ニューヨーク国連本部で4月29日から5月3日まで、世界の地名の標記方法について話し合う国連地名専門家グループの会議が開催された。
 同会合では、韓国提出の文書の中に「東海・日本海」併記表現が含まれていたところ、川村泰久国連大使(日本政府代表団長)が、「日本海(Sea of Japan)が国際的に確立した唯一の呼称であり、事実と異なる内容を含む韓国の文書は受け入れられない」「技術的議論をすべき国連会議の枠組みの下で韓国がセミナーを開催して政治的プロパガンダのキャンペーンを行っていることは極めて不適切である」と韓国側の対応を強く非難した。
 これに対して韓国代表団は、日本のコメントには留意するとしつつ、「セミナー」開催は規則に合致、また政治的重要性をもたない。「東海」は国際的に広く使われている。地図会社や出版会社のかなり多くが、他の名称とともに「東海」の名前を使用または採用している、と発言した。
 これに対しては川村大使が、「これは韓国側の政治的な意図をもったロビー活動の結果」であり、「日本海」で19世紀以降確立している国際的呼称が変わったと地図出版社が認識した上で行ったものではない、と反論した。

既成事実化に強く抗議 国連地名専門家グループ会議
韓国「東海」併記主張 日本「受け入れられない」

 国連地名専門家グループの会議の4月29日のセッションにおける日韓のやりとり詳細は次の通り。5月1日の議論もほぼ同じ内容。
 日本側川村泰久国連代表部大使の発言は次の通り。
 日本は地理学的名称に関する国連専門家グループ(Uited Nations Group of Experts on Geofraphical Names/略称UNGEGN)の技術的かつ学術的な性質を尊重し、地名情報の提供などの技術的な貢献を通じて地名標準化の議論を促進するというUNGEGNの趣旨を支援している。我々は、UNGEGNの議論を政治化するつもりは全くない。その上で、韓国が提出した文書に事実と全く異なり受け入れられない記述があるためその点について指摘する。
 最初に「日本海」は日本、ロシア及び朝鮮半島東岸の境界に面した海洋の国際的に確立した唯一の名称だ。地名学の観点から「Sea of Japan」やフランス語での「Mer du Japon」は17世紀初めから米国、英国、フランス、中国およびロシアによって他の地名よりも先立って用いられていた先行地名として使用され、19世紀初めには国際的な名称として確立した。さらに国連やその他の国際機関でも「日本海」の名称が一貫して用いられている。
 次に韓国側の文書が「名称についての争い」、「韓国と日本との間の名称の問題」や「(名称の)併記」といった表現を使っていることは、「日本海」が当該海域を指す国際的に確立した唯一の名称であるとの事実と相容れず、UNGEGNの趣旨である地名標準化の流れに反する政治的な意図を示すものだ。国際的に確立した名称と国内で使用する名称の併記に係る韓国の主張を許すことは、他国が同様の事実無根の根拠の無い他の名称の併記を主張することに繋がる。その結果として、地名に関する潜在的な争いが増加し、地名標準化を遅らせることになる—。我が国は、韓国が用いた誤った表現を受け入れることができない。韓国に対し、今後、UNGEGNにおいて同セミナーに関する同様の文書を提出しないことを求める。
 韓国の代表の発言は「海洋の名称に関するセミナー」は本件会合の手続規則に従っており、政治的重要性をもたない。しかし本件に関する日本代表のコメントには留意する。「東海」は国際的に広く使われている。また、地図会社や出版会社のかなり多くが、他の名称とともに「東海」の名前を使用または採用している。