アルテミスII打ち上げ
人類の月帰還へ序章
現代は中国との宇宙開発競
米航空宇宙局(NASA)は4月1日、有人月周回ミッション「アルテミスII」をフロリダ州から打ち上げ、4人の宇宙飛行士を乗せた宇宙船が約10日間の飛行に出発した。人類が月へ向かうのは1972年のアポロ17号以来で、50年以上ぶりとなる。
乗組員は米国人3人とカナダ人1人で、月面着陸は行わないものの、月を周回して地球へ帰還する。今回の任務は、将来の有人月面着陸や長期滞在に向けた重要な試験飛行と位置付けられている。宇宙船「オリオン」は約69万5000マイルの往復飛行を行い、月の裏側を含む観測を実施する予定だ。
打ち上げは午後6時35分に行われ、現地には多数の見物客が集まり歓声を上げた。一方で、ニューヨークなど都市部では関心の低さも見られ、宇宙開発への関心の変化も浮き彫りとなった。
打ち上げ直前には技術的な不具合により約11分の遅延があったが、飛行はおおむね順調に進行している。ミッションは太平洋への着水で完了する予定で、NASAは「人類の月帰還に向けた序章」と位置付けている。
今回のミッションでは、黒人宇宙飛行士や女性、さらには米国以外の宇宙飛行士が初めて地球周辺を超えた深宇宙飛行に参加するなど、多様性の面でも歴史的意義を持つ。1960年代、NASAはソ連に先んじて月面着陸を成し遂げようと競い合っていた。今回は中国との宇宙開発競争となっている。
人類が再び月に向かうことになった理由としては、将来の火星への有人飛行を想定して長期滞在・放射線対策・生命維持技術などの実験場となることや水、ヘリウム3、レアメタルなど将来利用できる資源があることがあげられる。そうした科学拠点だけに留まらず、通信・衛星ネットワークの拠点、深宇宙の監視、軌道上インフラの整備など宇宙空間での軍事的主導権争いがある。月に誰が先に拠点を作るかが国際政治のテーマになっている。中国は2030年末までに宇宙飛行士を月面に着陸させることを目指している。NASAは2030年までの月面着陸、さらに月面拠点の構築を目指すとしている。

