ニューヨークを拠点とする現代美術家、松山智一=写真左=は、4月1日から1か月間、タイムズスクエアで開催されている世界最大級のデジタル・パブリックアートプログラム「Times Square Arts’ Midnight Moment」を手がけている。
毎晩午後11時57分から午前0時までの3分間、41丁目から49丁目に位置する96以上の巨大LEDスクリーンが連動し、松山による最新映像作品『Morning Again』が上映される。広告の光が消える180秒間、都市の鼓動とアートが溶け合う体験を創出する。
「Midnight Moment」は2012年にタイムズスクエア・アーツが始動した、NYの象徴的空間をキャンバスに変えるパブリックアートプロジェクト。過去にはデイヴィッド・ホックニーやオラファー・エリアソンなど、世界のトップアーティストがこの舞台に立ち、作品を発表してきた。
『Morning Again』は、現代社会の縮図としてのNYに流れ込む、多様な文化的な「力」を抽象的な存在として視覚化する映像作品。都市に痕跡を残してきた思想や感情、価値観の作用”そのものが、光や動き、色彩、揺らぐ形となって現れる。それらは交差し、重なり合いながら、NYという都市が内包する複数の「自由」の在り方を示しているという。
4月6日午後11時57分。音もなく、タイムズスクエア一体の電光看板が一斉に真っ白になり、程なく様々なイラストレーション画像が動画のように映し出されていく。全ての看板が変わった訳ではなく、一部は企業の広告がそのまま残っていたが、ほぼ地域全体の看板が一つのアート作品としての表現スクリーンとして切り替わった。街ゆく人は思わず「ワーオ。すごい」と歓声をあげてスマホ撮影する姿が見られた。(撮影・本紙・三浦良一)
松山智一=1976年岐阜県生まれ、ニューヨークを拠点に活動し、鮮やかな色彩と精緻な描線による絵画や、大規模なパブリック・アートとしての彫刻など、大胆さと繊細さを併せ持った作品を中心に発表。アジアとヨーロッパ、古代と現代、具象と抽象といった両極の要素を有機的に結びつけて再構築し、異文化間での自身の経験や情報化の中で移ろう現代社会の姿を反映した作品を制作。バワリーミューラルでの壁画制作(ニューヨーク/米国、2019年)や、《花尾》(新宿東口駅前広場、東京、2020年)、など、大規模なパブリックアートプロジェクトも手がけている。


