日本の性的搾取の実態

ジャニーズ事務所性加害を検証

NYの日系女性団体が主催

 ニューヨーク日系人会ビジネスウーマンの会は、ヒューマンライツ・ナウとの共催で3月13日夕、日系人会ホールで「ジャニーズの性加害問題を許すな 日本の性的搾取の実態は」と題した講演会を開催した。

 日本では故ジャニー喜多川氏によるタレントへの性的虐待問題や、お笑いタレントの松本人志による女性搾取の問題と、エンターテインメント業界の暗部が暴かれた。しかしこれは業界だけの問題ではなく、ホストクラブで搾取され売春を強いられる女性や子どもなど、一般市民への性的搾取も表面化していることなどが報告された。

 性規定に関する刑法改正は実現したものの、ほかの法整備はまだ途上にあるこの深刻な現状を、伊藤和子弁護士(ヒューマンライツ・ナウ副理事長、ミモザの森法律事務所)と、刑事法専門の後藤弘子(千葉大大学大学院教授)が日本の現状などをレポートした。モデレーターを務めたジャーナリストの津山恵子氏が講演の最後に2024年大統領選挙に関する解説も行った。後藤教授は、日本の子供たちの最近の困難な状況に触れ、安全と一般に思われている学校や家庭が実は性的搾取が行われている見えない現場であること、かつての反社会的な非行ではなく、現代は社会の表面に出ない非社会的な非行に移っている現状を紹介した。子供を搾取する大人の問題をどうするかに目を向けなくてはならないとも述べた。ジャニーズ問題は、BBCが報道するまでは関連企業や報道関係者も見て見ぬふりをしてきた。外圧がないと動かない日本はだらしがないと批判した。日本の大学生は、女子学生に限らず、加害者になる可能性を持つ男子学生にも関心が高い反面、いつの時代にも「おじさん的発想」を繰り返す若者もまた存在しているのも事実だなどと述べた。伊藤弁護士は、日本における#METOOの動きが伊藤詩織さんの勇気ある行動で社会的関心を高めたが、不同意性交をなぜ処罰しないのか、同意を求めた上で行うスウェーデンの状況などを紹介した。

 最後に津山さんがニューハンプシャー州での厳寒の中で共和党集会を取材した時の様子を紹介し「トランプ元大統領がなぜバイデン現職大統領よりも支持率が上回っているのか、前回選挙と明らかに違うのは若者と女性の支持者が圧倒的に増えているからだ。演説もコメディアンのようで、お笑い番組を見ているような会場の盛り上がり方は異質で、リッチでハンサムな男性になびく女性がまだ健在な証拠、あとは財力だろう」と3つのポイントについて解説した。

(写真)熱心に解説を聞く参加者。司会はジャーナリストの津山恵子さんが務めた