大麻喫煙お断り

タイムズスクエアに禁止看板
「臭う!」観光客の苦情殺到

 ニューヨークのタイムズスクエアを管理する同アライアンス事務所に、国内外の観光客などから「マリファナの臭いが立ち込めて気持ち悪い。歩くだけでどこでも臭ってくる」との苦情が殺到し、このほど「あらゆる種類の喫煙を禁止する」と書いた立て看板を立てた。

 ニューヨーク州では2021年春に娯楽用大麻の使用を合法化し、規制された娯楽用販売も1月24日から始まったばかりだ。しかしNY州は昨年10月に全ての州立公園や公共の野外スペースで大麻やたばこを吸うことを違法とし、自治体が違反1回につき50ドルの切符を切ることを決めた。にもかかわらず、タイムズスクエアに留まらず、マンハッタンの繁華街を中心にマリファナの臭いが立ち込め、歩いているだけで間接喫煙して頭がクラクラするなどの苦情が相次いだ。

大麻不法販売増加

合法店は苦戦
前科者に優先販売権

大麻販売店を巡回パトロールする警察官(NY1のテレビ画面から)

 NY市内では、グリニッチビレッジに合法の娯楽用大麻薬局「スマックドLLC」が1月24日にオープンした。場所はブリーカー通り144番地でデュアンリードがあったところ。ニューヨーク州では昨年12月にイーストビレッジにオープンしたハウジング・ワークス・カンナビス(ブロードウェー750番地)に続く2番目の合法薬局となる。開店初日はハウジング・ワークスほど混雑はしなかったが数十人が列に並んだ。

 ハウジング・ワークスは非営利団体だが、スマックドは過去に大麻関連の有罪判決を受けた人が経営する最初の薬局となる。州は、社会的公平を目指す目的で大麻の販売許可を非営利団体および大麻関連の犯罪者からの申請を優先している。スマックドのオーナーはローランド・コナーさん(50)。90年代に有罪判決を受けたコナーさんだが、現在は建物管理会社を所有しており危険にさらされている人に緊急の仮設住宅を提供している。今回は仮オープンで1か月ほどしたら改装し、正式オープンする予定という。

 3番目となる薬局「ユニオンスクエア・ファーマシー」はユニオンスクエアの近く、ブロードウエー13丁目のチェース銀行跡に2月13日にオープンする予定だ。所有者は刑期を終えて出所した人やホームレス、薬物乱用者を支援する非営利団体のドゥ基金(The Doe Fund)だが、実際の運営はハーバー・コミュニティーが行う。ドゥ基金が収益の51%を得る仕組みだ。このほかミートパッキングエリアに非営利団体が経営する薬局が開店する予定がありこれが4番目となりそうだ。

 州の大麻管理委員会は約150件の大麻販売許可証を付与する予定だが現在までに付与されたのは36件。そのうち28件はマリファナの前科がある人やその家族に渡され、8件は非営利団体に渡された。さらに30件の許可証を付与するが、その半分はブルックリンを除くニューヨーク市になる予定だ。ブリックリンは特定地域での大麻小売禁止を求める訴訟が進行中のため1件も付与されていない。

 ニューヨーク市および周辺には無許可の非合法大麻小売店が1400ほどあるといわれており、合法店は苦戦も予想されている。しばらくは大麻の臭いに非喫煙者が迷惑を被りそうだ。