地下鉄の治安に赤信号

女性が標的相次ぐ

どうやって身を守るか

 マンハッタンの地下鉄にて女性を標的にした事件が2件相次いで起きている。 

 最初の事件はワシントンハイツの181ストリート駅にて、真夜中過ぎに女性が前腕を刺される事件が発生。警察によると時間を尋ねる男性が被害者に近寄ってきたが、女性は身を守るために無視をしていたところ容疑者男性に上腕を刺された。被害者の女性は病院へ救急搬送されたが、容態は安定している。犯人は迷彩柄のシャツに黒いズボンを着用した男性と報じられている。 

 2件目はクイーンズ行きE線車内にて男性が女性をレイプしようとした事件が発生(本紙先週号既報)。容疑者の男性は乗客として乗り合わせた21歳の女性を電車の端に押し寄せ体を触るなどのレイプを試みた。被害者は逃げ出すことができたが犯人も逃走。その後、ツイッターに犯人の顔写真が公開され情報を基に容疑者は無事逮捕されている。

地下鉄で刃物刺される
週末に男女が別の駅で

 19日に、イースト・ニューヨークのヴァン・シックレン通り駅で上り電車を待っていた20歳の女性が、男に後ろから突然殴られた。女性はその後男と口論になったが、男はナイフを取り出し、女性の腹部を3度ほど刺した。女性は病院に搬送されたが、命に別状はなく回復が見込まれている。また20日には、地下鉄6レキシントンラインの6番線ローカル電車の車内、キャナル・ストリート駅付近で31歳の男性が見知らぬ人間から腕を2か所刺される事件が発生しているが、こちらも命に別状はない。

女性が地下鉄ホームで死亡
NY市内で今年6人目

 クイーンズ区地下鉄G線の21通り駅ホームで9日、ホームレス生活をしていたオードリー・ルーマーさん(63)が死亡した。ニューヨーク警察によると、今年に入って地下鉄で亡くなったのはこれで6人目。ルーマーさんは絵画を愛し、ロングアイランドで旅行代理店を経営していたが3年前に住居していたアパートの家賃滞納で追い立てられた。退去後、政府の援助のもとに食品配達の仕事を行っていたが生計を立てられるほどの給料は与えられておらず精神が悪化。法律扶助協会の弁護士、ジュディス・ゴールディナー氏は「彼女に起こった出来事はニューヨークに住む多くの人の生活がどれほど酷いものなのかを示している」と語った。アダムズ市長は20日にホームレスをシェルターに移すと発表したが彼女の兄は「数週間遅かった」と悔やんだと20日付デイリーニューズ紙が報じた。

犯罪対策のアドバイス
NY総領事館がHPで

 ■公共交通機関における犯罪の増加について(2月23日)在ニューヨーク日本国総領事館 発出:「NY州知事及びNY市長は、18日(金)、地下鉄内で寝泊まりするホームレスを排除する「地下鉄安全計画」を発表し対策に乗り出していますが、コロナ禍等の影響から、今後も同種犯罪の増加傾向が続くおそれがありますので、公共交通機関利用時には、ホームの端に立たない、ホームレス、独りごとを言う人から距離をとるなどの未然の予防策を講じるとともに、常に周囲の状況に注意を払い、犯罪に巻き込まれないように、ご注意をお願いいたします」。(原文まま)

 ではどうやって身を守ってをいけば良いのか。同日本総領事館がHPで解説している地下鉄を利用する際の安全対策を紹介したい。(1)単独での地下鉄利用は避ける。特に利用者の少ない夜間は近づかない。また、可能な限りバスやシティバイクを利用する。(2)人の少ない車両に乗車する際は乗客員の有無や同乗者の様子を確認し、不審な人物等を確認した際は車両をすみやかに移動する。(3)駅のホームでも同様、周囲をよく確認し、壁際やMTAサインボードの近くで電車を待つ。(4)人の少ない時間帯はホームの指定された場所で車両を待つ。バスなら前方の座席に座る。(5)ラッシュ時は常に所持品を意識し、宝飾品や現金は見せない。

 また、十分に注意をしていても不測の事件や事故にまきこまれる可能性はあるとして警戒を呼びかけている。万一の場合の対応策を紹介する。(1)緊急時には「911」を回し(公衆電話ではコイン不要)、オペレーターに緊急事態の場所と内容を告げる。英語で説明できない場合はその旨を伝えれば、日本語通訳サービスを介して通話可能。

 思わぬ事態に遭遇した際は総領事館の「邦人援護担当官」へ連絡を。電話212-371-8222 (24時間対応可能。日本語オペレーター対応可)。