「NYの富士山」50周年祝う

マウント・フジ・ジャパニーズレストラン50年

創業者の藤田徳明さん(右)と一枝さん夫妻
EPSON MFP image

吉村順三作の日本家屋
レストランで愛される

 ニューヨーク州ロックランド郡ヒルバーンのレストラン「マウント・フジ・ジャパニーズ・ステーキハウス」本店で19日、創業50周年を祝うパーティーが招待客350人を招いて盛大に行われた。
 戦後日本を代表する建築家の吉村順三が1956年に設計して建てた山頂のホテルを78年に譲り受けて改修し、85年に現在の威風堂々のレストランをオープンして営業を続けている。
 創業者は、1964年の東京オリンピックでレスリング・グレコローマンスタイルの日本代表選手で4位に入賞した藤田徳明さん(故人)。ロッキー青木さん(故人)のベニハナで「ヒバチ・ステーキ」と呼ばれる鉄板焼ステーキハウスを米国で修業して独立開業、妻の一枝さんと力を合わせて店を繁盛させて最盛期にはニューヨーク、コネチカット、ニュージャージーに9店舗のヒバチステーキハウスを展開して成功を収めた人物だ。

レストラン入口のシンボルとなっている鳥居の前で多田夫妻

 現在は2005年に来米した多田貴将さんが藤田氏の長女のナンシーさんと結婚してあとを継ぎ、夫婦2人が力を合わせて両親が築き上げたホスピタリティーの遺産を守り新たな50年を見据えている。
 同レストランは建築物としての価値も素晴らしく、1957年8月に発行されたライフ誌に5ページに渡り、吉村順三の建築の美学としてこの建物を特集している。現在、米国に残る吉村の設計による建築物は、このほかニューヨークのジャパン・ソサエティーの建物、ホテル・キタノ、フィラデルフィアの松風荘、ニューヨーク郊外のロックフェラーの別邸などが有名だ。米国で育まれた和洋折衷のミッド・センチュリー・デザインが見事に再現されている建物でもあり、日本文化を発信する場としても次世代の新たなステップが期待できそうだ。