女性の人権問題広い視野で日本に

国連第3委員会に派遣された 日本女子大教授

宮崎あかねさん

国際連合には委員会が6つある。そのなかで、主として女性問題や社会問題など人権問題を討議するところが第3委員会と呼ばれるところ。
日本政府は、国連に加盟した1956年の翌57年から61年間、毎年、NGOを代表する日本人女性を1人、この委員会に派遣している。  委員会での役割は、討議される主題によって異なるが、主として会期中、代表席でステートメントや討議を聞き、他国の代表団と交わって意見交換をし、また自国政府のステートメントを読み上げるほか、会議の内容や様子を帰国後報告することだ。
最初の1人は、米国に留学後、母校の津田塾大で教壇に立った元労働省婦人少年局長を務めた藤田たきさん。その背景には「日本の男性に女性問題への理解を求めるなら、外国の力を借りる必要がある」と力説した市川房枝さん(故人)の存在が大きい。国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さんも1968年、70年、75年にこのシステムで派遣されている。
今年28代目の代表として派遣されたのは、日本女子大学理学部物質生物科学科教授の宮崎あかねさんだ。10月1日に来米し、翌2日には代表としてスピーチしている。11月2日まで1か月間国連本部に派遣された。宮崎さんは、1991年 日本女子大学家政学部を卒業後、93年 東京工業大学大学院総合理工学研究科修士課程を修了、96年東京大学大学院総合文化研究科 博士課程修了博士(学術)を経て2006年から現職。今回、国内NGO女性委員会を構成する8つのNGOのうち、婦人国際平和自由連盟に所属している宮崎さんに白羽の矢が立った。女性をこのようなシステムで一貫して派遣しているのは日本だけで、各国からも女性の参画を継続していることに対して高い評価を受けているという。
宮崎さんは、今回派遣されて、これまで日本の女子の理科教育の拡大に貢献するという日本国内で考えていたことから、世界、専門領域から世界で直面してる女性の問題を考えるということにも視野が広がったと言う。教壇にたち、将来国連で働くことを目指す若者を応援したいという思いも強くした。
「#ME TOO運動も、社会のシステム 働き方と女性の権利が結び付いている問題で、女性の働き方は女性だけが変わればいいという問題ではなく男性の協力も必要だ」。  1か月の体験を振り返って国連のシステム、全ての国が平等に発言できるのが印象的だったこと、ハラスメントと一言で言っても医学部の女性合格率が低いという問題から紛争地で女性がレイプされるというような問題まで幅が広く、「それにすべて対応する国連の仕事は大変だがやりがいのあるものだなあ」というのが実感だったそうだ。  (三浦良一記者、写真も)