NYで見つけた自分のダンス

A.T.ダンスカンパニー 総合芸術監督

竹野 綾さん

 ニューヨークで今年発足したA・T・ダンスカンパニーの総合芸術監督を務めている。現在は9月3日にイーストビレッジで開催が予定されている旗揚げ公演の準備に追われている毎日だ。福岡県北九州市生まれ。京都光華女子大学在学中からプロフェッショナルジャズダンサーとしても活動した。ダンスとの出会いは幼少期。突然バレエが習いたいと言い始めた竹野さんを両親が近所のカルチャーセンターのバレエ教室に通わせてくれたことがきっかけだった。

 しかし、中学3年生の時、自分はバレリーナの体型ではないと、一度バレエを辞めるが、大学1年生の時にジャズダンスに出会って目覚めた。踊ることで体のアドレナリンが湧き上がる自分がいた。大学卒業後、2006年から14年まで、プロダンサーとして数々の舞台や由緒ある寺や神社でのショーに出演。30歳の誕生日にNYへ3週間単身ダンス留学をしていた際に、恩師と意見が合わず不在解雇に。帰国後自分を表現する場を失い、東京に行くか、NYに行くかの選択を自問し、留学経験があったニューヨークに「世界のダンサー達と肩を並べて生のフィーリングを感じたい」と7年前に拠点をNYに移した。ここで出会ったのがソーシャルダンスだった。ラテン部門の大会を見る機会があり、踊りから情熱や心を再び燃やしてくれる出場者たちの熱いフロアーに魅了された。「私は来年、この大会、このステージで戦う!」と決断。自分が求めていたものはこれだ!と確信し、この年から新天地での挑戦が始まった。ダンスはダンスであっても畑違いのダンスの世界で何からすれば良いのかわからず、NYのソーシャルダンススタジオを片っ端からノックしていった。ダンスパートナーを見つけ、大会までレッスンに励み、身体の使い方が全く違うダンスに戸惑いながらも日本でのプロとしての経験を生かし、自分の追い求める表現を伝え2018年に見事優勝。「どんなに素晴らしいダンサーでも、異国でパフォーマンスの機会を掴むことは難しい。日本のパフォーマーが夢を持てる機会を増やし、サポートできる母体として自分のカンパニーを作った。ニューヨークはタフな街だけどまた前に進む力を与えてくれるスパイシーな部分も病みつきです」と元気な笑顔を見せた。

 (三浦良一記者、写真も)