教師辞めて米国で女優に

女優

筒井あづみさん

 ニューヨークで10年以上女優として活躍する日本人女性、筒井あづみさんは、8月に3公演がイーストビレッジで予定されているシェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」をもとにしたコメディー劇「Shrew You」に1人4役で出演する。女性4人のキャストで、シェイクスピア作品の中でも最も性差別的ともいわれる同作品に挑戦する。

 出身は大阪で、京都大学総合人間学部を卒業後、京大大学院修了を経て奈良女子大附属中学の英語教師として一旦採用されたが、学生の頃からアメリカに住みたいという夢があり、自分のやりたいことが本当に教師でいいのかを自問し、1年後ニューヨークで芝居を学んでみようと思い立ったという。2010年に来米した。現在ニューヨークで俳優業をしている。

 高校生の頃テレビで深夜にアメリカドラマを初めて見たが、それがアメリカへの憧れに繋がったのかもしれないという。

 ニューヨークで演劇学校に2年通ったあとはオーディションに応募する毎日が続いたが、コロナ禍になってからは、現在も98%近くがビデオ審査だという。現在はシェイクスピア劇団である “Hamlet Isn’t Dead”に所属。公演前は台詞を覚えるのはもちろん、シェイクスピア劇の独特の言葉遣いやリズム、言葉の意味や正しい発音を調べるところから始めなくてはならないので大変だ。

 今回の作品「Shrew You!」は、じゃじゃ馬な娘の姉が先に嫁がないと結婚できない妹とその求婚者たちが、あの手この手で姉を結婚させて淑女にしていく話。筒井さんは主役の妹、ビアンカや男役のトラーニオ、ホーテンシオ、仕立て屋の4役を演じている。同作品は、女性蔑視的とも取られかねない表現や台詞が多く含まれており「議論のある作品なのですが、それを女性のみのキャストで現代風に書き換えるというのがコンセプトなんです」という。「劇団は、ものすごくうまい役者がそろっています。日々彼らとリハーサルやワークショップをしたり、舞台をやっていくと、彼らの知識量や、易々とシェイクスピア作品を演じていける力量に圧倒されます。ただ、そのような環境で学べることは非常に有益です。私は英語が母国語ではないけれども、だからこそ人と違う何かを提供していけるのではないか、私なりのやり方で劇団に貢献していけるのではないかと思っています」と語った。

(三浦良一記者、写真は本人提供) 

コメディー版じゃじゃ馬ならし

8月中に3公演

 ニューヨークで活動する日本人女優・筒井あづみが、アンダー・セントマークス(セントマークス・プレイス94番地)で上演されるシェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」をもとにしたコメディー「Shrew You!」に出演する。女性のみのキャストで、シェイクスピア作品の中でも最も性差別的ともいわれる作品を、シェイクスピア劇団「Hamlet Isn’t Dead」 のアーティスティックディレクター、デイビッド・アンドリュー・ローズ が現代的な視点で大胆に書き換えている。監督はソフィア・カーリン。同作品は「2023・リトル・シェイクスピア・フェスティバル」の一部で、人形劇や音楽の生演奏などもある。上演日は8月11日(金)午後8時、12日(土)午後9時、18日(金)午後8時の3回。

 入場料は25ドル(ストリーミングは20ドル)、チケット・詳細はウェブサイトhttps://www.frigid.nyc/event/6897:468/を参照。