devotions 松山スタジオ7人展

天理文化ギャラリーで

 ブルックリンの松山スタジオにアシスタントとして在籍する日本人アーティスト7人の第2回目のグループ展が1日からマンハッタンの天理文化ギャラリー(西13丁目43番地A) で今月9日(水)まで開催されている。

 展示会コンセプトは展示会場からインスパイアされたキーワード”devotions”を共通テーマにそれぞれの解釈で表現している。献身、真心、精進、礼拝、没入といった意味合いがある。参加アーティストたちはばらばらな経歴の持ち主で、池田尚樹、小野原和紀、川植隆一郎、深谷成子、大槻素子、増田裕士、日吉拓哉。

 増田はモンスターのような自分にとっての「敵」と思える相手の気持ちを一歩下がって考えることの必要性を問いかける作品を2点出品している。「良い想像力と悪い想像力」の両方を持つ人間を表現した。

 小野原は歌舞伎の大道具に出会い、背景画家として12年間活動。文化庁選定保存技術保存会の講師。ニューヨークに来て1年。新しい挑戦としてシルクスクリーンを手がけ、流れという観念的なものを、波、編む、折るなど祈りで捉えた。 

 大槻は東京造形大学で学士号と修士号を取得。誰もが一度は見たことのある風景を独特の視点で切り取る。パーティーの象徴のケーキを大キャンバスに花火を逆に小さいキャンバスで表現した違和感を表現。共にタイトルは「SCENE」。

 池田は会社経営の傍ら2020年に現代美術家として活動を開始。「何も考えないでたまたま絵になる抽象画だが、どこで止めるかは、レシピが止まる瞬間が明確に分かる。NYには壁画が多くあるので作品は大きい方が強いと思う」。

 川植は日常生活での発見を独自の視点で描く。今回は自分の内面を表現したという独特のキャラクターをさらにデフォルメして登場させた作品数点を出品している。生活環境の日米変化でモチーフの表現にも変化を感じるそうだ。

 深谷は、14歳の時にアメリカへ引っ越したが感情を他者と共有することが難しかった。しかしアートは自然の美しさと作家自身の感情を他者と共有することを可能としてくれたという。信仰の象徴である神殿の大作と日常の生活の中にある小さな幸せの光景を描く。

 日吉は今年3月に多摩美術大学卒業後4月にNYに移住した。バイオリニスト葉加瀬太郎の「SONGBOOK」のジャケットアートワークを手掛けるなど、活動の場を広げる。今回は浮世絵のデザイン寄り技法とグラフィティーとを融合させた作品をレンガにスプレーで描いた。作家が揃うオープニングレセプションは8月4日(金)午後6時から8時まで。(三)