ロックダウンに負けず演奏

フルート奏者

宮本果奈さん

 宮本果奈さんは12歳からフルートを始め、15の時に千葉県吹奏楽連盟主催個人コンクールフルート部門1位を納めたことをきっかけに、文化庁海外留学制度派遣員として高校1年生の時に来米した。半年間ネバダ州に留学した後、ミシガン州にあるインターローケン・アーツ・アカデミーに転学して卒業。帰国後は東京音楽大学へ進み、在学中からクラシック ジャズに関わらず、ソロイストあるいはオーケストラや室内楽での活動に加え、ドモホルンリンクルやトワイニング紅茶のCMなどのスタジオ録音にも複数参加した。2011年に東京音大を卒業し、再び渡米したのは2014年。ニュースクールに学長奨学金を得て入学、在学中に参加したハドソンジャズワークショプではテスティモニアルとして参加。2017年には自身のグループカナセプトでファーストアルバム「スプリングドーズ」をリリースし、2018年2月には同バンドで日本ツアーを東京関西全6か所を回った。このアルバムは日本のジャズマガジン「ザ・ウォーカーズ」や、またニューヨークFM 局のWNYC-FM で放送された。

 2019年よりニューヨークジャズワークショップにてフルート講師として在籍。今年1月にはニューヨーク総領事大使公邸でも演奏した。ロックダウン中は、ニューヨークや海を越えた日本のアーティスト達とのコラボレーションも多く行っており、日々新しいアートの形を模索している。特にロックダウン中に音楽製作で携った作家、後藤緑氏の朗読動画マジックキッチンでは陶芸家・画家・大森千寿氏とのコラボレーションと共に安らぎを届けた。ライブ演奏ができなくなったことで、オンラインでの合奏という今までに経験をしたことのない音楽家同士のコラボレーションも新鮮だった。ライブのような体感はできない代わりに、忙しくて演奏会場に来ることのできなかった人も音楽を楽しむことができるという発見もあった。

 奏者として活動する一方で子供に対する音楽教育にも情熱を注いでおり、学校クラスコンサートや児童施設へのボランティア演奏・ 音楽企画を多く企画している。ロックダウン中の現在もニューヨークではオンラインレッスンで音楽指導を行っており、在米日本人の子供を対象に日本の童謡を生かした音楽指導を行っている。最初は子供たちも、慣れないオンラインの指導に戸惑っている様子だったが、対面で手ほどきをできないオンライン指導では、子供自身がなんとか自分の力で答えを導き出さなくてはならないため、かえってしっかり話を聞くようになったり、考えるようになって新しい可能性を感じることもできた。7月15日にはトミジャズ屋外で4か月ぶりに演奏。レストランでの演奏ではあるものの久々に仲間と演奏できたことそして人前での演奏はとても新鮮で1つ1つの音を紡ぐ喜びを噛み締めたという。千葉県船橋市出身。(三浦良一記者、写真は本人提供)