ミキハウスが戦略転換

オンライン販売好調

米国内3直営店は閉鎖

 高級子ども服と靴を米国で販売するミキハウスアメリカが、ニューヨークのブルーミングデールズ百貨店内の直営店を7月31日で閉店し、先に閉店したサンフランシスコ、マイアミと合わせ米国内3直営店を7月いっぱいですべて閉じた。これまでの高級百貨店を中心とした店舗販売路線から今後はオンライン販売を中心としたマーケティングに大きく戦略転換を図るという。米国と英国を統括する竹田欣克社長に今後の戦略を聞いた。(聞き手・三浦良一記者)


直営店閉鎖の理由はなんですか?

「新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げが落ちたのもあるが、ここ3年くらい百貨店でのトラフィックが落ちている一方でオンラインはどんどん伸びる傾向にあった。そこにパンデミックが起こり、百貨店が2か月閉じて従来のお客様がオンラインに流れ、ネットだけで今年上半期、対前年比で4倍の売り上げがあった。百貨店での売り上げがゼロだったにもかかわらず会社全体で20%伸びた。このタイミングで戦略を見直すべきと判断した。全米の小売店への卸しは続けるし、ブルーミングデールズ・ドット・コムは今後も続けるので、米国市場を決して縮小させるわけではない。今までのような店舗中心のブリック&モルタル型をオンラインがサポートするビジネスモデルから主従逆転し、オンラインを軸にする。直営店がない中で、今後どういうカスタマーサービスをするかが課題。ノードストロームのようにカスタマーサービスだけの店舗を構えるかもしれないし、世の中を見極めて、理想的なオムニチャネル戦略を実現するために直営店出店も検討していく」

コロナが契機でビジネスのターニングポイントになったという事ですか?

「そうですね。店舗に来ていたお客様がオンラインに流れてきてみたら案外買い物がしやすかった。これなら店がなくなっても大丈夫という流れになってきた。オンライン接客は私たちも初めてだが、お客さまに喜んでもらうのが第一。アメリカでは低価格帯のものは売れなかったため、高額のものを外で着ることを想定していたが、これからは家で着る普段着の子供服の需要が増える。刺繍のついたお出かけ用の洋服に198ドル払うなら39ドルのプリントTシャツを5枚買ってくださいと。洗い換え、ステイアットホームな服をもっとアピールしていきたい。日本から取り寄せた日本製の甚平なんかも人気が出ています」

今後の小売ビジネスはどうなると見ていますか

「リテールは、店舗を中心とした元のようなビジネスにはもう戻らないでしょう。ただオンライン中心でも、お客様は商品に触りたいという希望がある。じゃあどうするのという時に不安を除く工夫、よりヒューマンタッチなものを提供する必要がある。触れ合うのが怖いし、なかなか会えないからこそ、安全に触れ合う事、顔が見えるヒューマンタッチなサービスが求められていくはず。商品の交換は1回は無料にするなどし、日本語、ロシア語、中国語、英語の4か国語でカスタマーサービスが6月から対応できるようにした。買い求めやすい価格、スタンダード、エッセンシャルコレクションの幅を増やし、もうほとんど日本と価格は変わらないお買い求めやすい値段になっている。日本企業や日系団体とコラボレーションしてアメリカの日系マーケットとのコミュニケーションを大切にしていきたい」。