舞台は世界、夢を掴んだニューヨーク

俳優・ダンサー

笹部菜摘さん

 ニューヨークの朝はオーディションで始まる。冬から春にかけては夏のリハーサルに向けてオーディションシーズンとなる。ミュージカルなどの人気作品は、午前4時か5時には予約のサインナップが始まり、一旦帰って午前9時からのオーディションに挑む毎日だ。コロナ禍以降、オーディションの面接はビデオ審査が多くなったが、対面オーディションも今年になって10回、ビデオも入れると30回ほど受けた。三人姉妹の長女。都立青山高校2年の時、親から、三姉妹平等に高校卒業後にかけられるお金は国立大学と同じ額で、それを自由に使って自分の道を選ぶようにと言われた。小さい時、ちゃぶ台の上で踊るような女の子だった笹部さんは、8歳の時にダンスをはじめた。14歳の時、恩師Momoko率いるダンスカンパニーのメンバーとして東京都内の劇場やレストランの公演に参加し、すでにプロダンサーデビューしていた。

 そんなとき、日本で見たメリル・ストリープ主演の映画「ソフィーの選択」に魅せられ、アメリカの舞台芸術活動教育に興味を持ち、2017年に単身渡米した。アメリカでの俳優活動を始め、2019年にフロリダのウォルトディズニーワールドにてパフォーマーとして活動後、コロナ禍日本に一時帰国。2021年コロンビア大学に入学し、ニューヨークでの活動を再開。卒業生上位15%に与えられるcum laudeとして23年5月卒業。同年にはロサンゼルスに拠点を置くMJBタレントエージェンシーと契約。俳優を目指すのであれば日本国内でも選択肢はあったが、迷わずにアメリカ行きを決めたことが、結果として今、アメリカで俳優活動をすることにつながっている。

 昨年は長編映画「FOR HER」(2023 Morningside Collective、リリナツ・ハキミ監督)に出演。2021年には短編映画「シルク・カイト」、22年に「Three Minuites to Smoke a Cig」に準主役として出演している。現在バーナードカレッジ教授主導の演技ラボに参加。舞台作品I said, “I wo(a)nder and I mingle” の出演に向けて準備中。「俳優は一生、就職活動だよってアメリカの同僚が言ってました。まさにその通り。今年はニューヨークでの活動に加えて、ロサンゼルスの映像作品にも挑戦したいです。将来の夢は最終的には、そうですね、一番大きな夢はオスカーノミネーションです」と大きく出た。

 (三浦良一記者、写真も)